古代インカ・アンデス不可思議大全

芝崎みゆき(著者)

• 販売会社／発売会社: 草思社
• 発売年月日: 2022/02/02
• JAN: 9784794225603

商品レビュー

2025/05/19

古代インカ・アンデスからスペインのコンキスタドールによる征服までをイラスト豊富に描く。

古代はロマン溢れるが分かっていないことも多く、様々な文明間の違いもよく分からないし、今後研究が進んでもあまりクリアにはならないと思われる。よって文明の痕跡が未整理のまま多数転がっている状態だ。
ワクワクするものの解釈しようがなくモヤモヤしていた。

ただ、この本では著者が各文明や発掘された土器などに感想やツッコミを入れていて、「あーこういう感じに純粋に面白がってるだけでもいいなあ」と思えたのが最大の収穫だった。肩肘張らないコメントばかりなので、ともすれば古代文面マニアの友人と話してるぐらいの感覚で面白がることができ、それが最大の収穫だったと思う（そんな奇特な友人おらん）。
インカ帝国の王族の名前にもしっかりツッコミを入れてくれていてよかった。日本人からするとどストレートすぎる下ネタなのに、他の書籍だとどの著者も真面目に連呼しまくっててずっとモヤモヤしておりました…。（どストレートすぎるから友人等に話すのも気が引けるし…マ⚪︎⚪︎だけでもアレなのにカパックとかク⚪︎コとかチ⚪︎⚪︎とか…）

コンキスタドールはやはり鬼畜の所業で読んでて嫌になったが、それ以上に著者の怒りのボルテージが上がっていくのにウケた。色んな本でコンキスタドールは非難されているが、ここまで直接的にブチ切れて書いてあるのは初めて。それぐらい酷い所業をしてるからブチ切れられて当たり前だし100%賛同だが、にしても笑う。

また、一度読んだあとに冒頭から読み返すと、古代から営々と受け継がれてきた文明が、突然の列強に蹂躙・破壊され失われていく様に慄然とした。
古代文明にも生贄や戰での殺戮、虐げられた人々がいるから手放しにそれを賛美するものではないが、しかし何の脈絡もなく理不尽に踏み込んでくる列強の振舞いはレベルが違う。

以上のとおり、本書は膨大な情報をイラストも駆使して整理し提供してくれる。ライトにも読めるし、情報も多いため深くも読める。稀有な一冊。

2025/04/20

スペイン人に荒らされなかった場合インカ帝国って今も続いてたんだろうか。
その世界線も見てみたかったと思ってしまう。
インカ時代の金銀が延べ棒に変えてしまわれて現存していないっていうのが口惜しい。

2024/11/10

ゆるっと可愛い絵柄&手書き文字で構成されている、マンガ仕立ての南米文明の解説本。語り口もユーモアに溢れていてとても読みやすい。
内容は有名どころのインカやナスカはもちろん、プレインカ(インカより前)の時代の細々とした文明への言及も多数。ゆるかわな雰囲気だが内容は綿密な文献調査・現地探訪で裏打ちされていて、専門性もとても高い。そしてとても分かりやすくて面白い。

多少は前提知識があった段階で初読した私も、とても勉強になって面白く読みました。興味を持ち始めた友人・知人に薦める最初の一冊にしています。同著者の本はどれも大好きです。