商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2022/01/19 |
JAN | 9784488400231 |
- 書籍
- 文庫
他人の城/憎悪のかたち
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他人の城/憎悪のかたち
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
このシリーズも四冊目。今回も楽しませてもらった。表題作はまさしく正統派ハードボイルド。1960年代にこんな文体があったのね。
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☆「憎悪のかたち」 黒人兵との間に生まれ、生まれた途端母親に自殺されてしまったので、赤の他人の老人に育てられた青年。その老人が殺されてしまう。テキ屋の親分が親切ごかしで近づいてくるが何かがおかしい……。 空回りするだけで、何もできない主人公が痛々しい。リアルではあるのだろうけ...
☆「憎悪のかたち」 黒人兵との間に生まれ、生まれた途端母親に自殺されてしまったので、赤の他人の老人に育てられた青年。その老人が殺されてしまう。テキ屋の親分が親切ごかしで近づいてくるが何かがおかしい……。 空回りするだけで、何もできない主人公が痛々しい。リアルではあるのだろうけど、せめて一発くらいはやり返させてやりたい。 ☆「溺死クラブ」 独立していた犯罪組織が手を組んでシンジケートとなったことで、各々の組織の殺し屋たちを一堂にしてパーティが開かれた、という設定の、真顔でふざけるタイプのコメディ。 表の世界のクラブでバンドが演奏するディクシーランド・ジャズをマジックミラー越しの背景に、殺し屋たちが銃撃戦を演じる。作中に映画への言及もあるのだけれど、確かに鈴木清順あたりが撮ってそうなお話。 ☆「殺しに行く」 名前に「金」と入っているせいで、韓国系と間違われたことがグレる切っ掛けとなった青年。女といるところを組の幹部に呼び出されて拳銃を預けられ、目を掛けられたと喜ぶが。 巻末の解説にもあるが、今時はよほど腹をくくらないと書けないようお話。 ☆「ガラスの街」 かつて自分がドキュメンタリーで取り上げたことのある、フーテンの少女が変死をしたことを知ったテレビ制作者。 作者の「あとがき」に拠ると、「他人の城」の原型になった作品らしい。確かに、雰囲気や語り手のキャラクター、一部の登場人物が共通しているし、物語の発端のところ、探偵でもない主人公が事件に巻き込まれる仕掛けは同じものだ。ただちょっと叙情に流れすぎな気もする。これも「あとがき」に拠れば、作者が共感と反感を共々覚えていたらしい五木寛之氏の短編みたい。 ☆「腐ったオリーブ」 自らもその一員だった麻薬密輸組織から追われる羽目になった黒人。分解した機関銃と麻薬を抱えて、東京の街を逃げ惑う彼に、日系米国人の青年が助けを申し出る。 機関銃を使った銃撃戦がやりたかったんだと思うが、もう一つ盛り上がらない。 ☆「他人の城」 本作に当たって、作家はパズラーとは違うやり方で、本格ミステリを書くことを意図したという。だからロス・マクドナルドなのかと納得してしまう。とはいえタフな現実をあからさまに描く筆致はハメットを、何処かに甘さを潜ませた文体はチャンドラーを思わせるのも事実で、作者が日本でハードボイルドを書くと言うことに、極めて意識的だったことを明示しているように思う。
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