商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2021/12/21 |
JAN | 9784120054860 |
- 書籍
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鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ
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例えば大岡昇平との鼎談の回で、久美子さんが大岡昇平に〈(マックス・)エルンストなんかいかがですか?〉と聞くくだり、〈エルンストは好きですよ。〉と言われて〈ああ、良かった(笑)〉と喜ぶ所を読むと、なんだか久美子さんがとてもかわいらしく思えるし、姉妹が本当に〈気に入ったお客さましか〉...
例えば大岡昇平との鼎談の回で、久美子さんが大岡昇平に〈(マックス・)エルンストなんかいかがですか?〉と聞くくだり、〈エルンストは好きですよ。〉と言われて〈ああ、良かった(笑)〉と喜ぶ所を読むと、なんだか久美子さんがとてもかわいらしく思えるし、姉妹が本当に〈気に入ったお客さましか〉呼んでいないことがわかる。読むことにせよ書くことにせよ見ることにせよ、そこから決して快楽を締め出さないやり方をすると言うか、そこにある快楽や欲望や楽しさと言うものに対して常に敏感で繊細な人たちばかりである気がする。そして今、絶えざる今と言うものに対しても。語り下ろし対談にて姉妹はこれらの鼎談を、「古びてる」と言う。きっちり古びてしまうタイプの、常に今である鼎談。いずれにせよ紋切り型でないことは確かである。紋切り型でないと言うことは、瞬間的であると言うか、その時々やその瞬間瞬間のことであって、普遍的なことを語ろうとしないと言うか、そう言ったことにはそもそも興味がないと言うか、非常に刺激的なことでもあるのだ。それは大変楽しいことでもあるのだ。 けれどもまあ、なんと言っても武田百合子が最高である。圧倒的に魅力的である。〈日記なんて、ウソですよねえ。〉と言う言葉の強さ。目が覚めるような素晴らしさである。武田百合子のこういった言葉を読むと、嬉しくなってしまう。姉妹の武田百合子評、特に〈百合子さんの紀行文というのは、自分が生きているという感覚そのものが、ブリ・コラージュだという面白さがある〉と言う言葉によって、かの文章や本がまた輝き出す。 姉妹がゲストの印象を語る毎回のまえがきとあとがきも面白い。西江雅之評の〈たまたま人間に生まれたから自分も人間として人間と付きあっているだけ〉や、大岡昇平評の〈いわゆる完成を喰い破って、常に生成して行く非個体的な個体が、大岡昇平であり、その作品〉など。山田宏一に対しての〈必死の快楽主義者といったふうの凄味〉があるとか〈度のすぎた幸せのため〉に〈禁欲的ですらある〉とか。ここに呼ばれている人たちは、姉妹にとって本当に〈気に入ったお客さま〉であるのだなあと。 そしてそして語り下ろし対談である。〈だから、あの鼎談は、大江健三郎しか読んでなかったっていうことね(笑)〉に笑う。山尾悠子の話題や阿佐ヶ谷姉妹の名前があがったりすると、一気に今!この現在!という感じがして嬉しい、楽しい。タイガー立石の回の日曜美術館など、極めて個人的でささやかで陳腐なことではあるのだけれども、読むことで金井姉妹と同じ今を共有できることを、祝福したくなる。
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70年代後半から80年代にかけて収録された、9人のゲストとのおしゃべり。知的興奮と、会話の楽しみがすべて詰まった鼎談集。
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