商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文芸社 |
発売年月日 | 2021/12/05 |
JAN | 9784286234694 |
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まっすぐな遠まわり
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ギラン・バレー症候群。世の中には、色々な病気がありあるいは解明されておらず「病名」すらついていないものがある。 何万人分の一、何十万何百万何千万に一………たけど、本人からしたら分母の大きさなんか関係ない。ただの一分の一。 ギラン・バレーに限らないけど、病気とか怪我とか、自分が今...
ギラン・バレー症候群。世の中には、色々な病気がありあるいは解明されておらず「病名」すらついていないものがある。 何万人分の一、何十万何百万何千万に一………たけど、本人からしたら分母の大きさなんか関係ない。ただの一分の一。 ギラン・バレーに限らないけど、病気とか怪我とか、自分が今日それらにならない根拠なんてどこにもない。 「何もない1日」って奇跡!って思う。 正直、こういう闘病記とか自分の辛い体験を語った話を読むときは、「よし!読むぞ!」って覚悟がいる。 だって、重いから。 ところが、この本は違う。 確かに、ご自分が何が何だか分からないうちにみるみる具合が悪くなり、病院に行ったら入院になり、そこから先の見えない日々が始まって、それが丁寧に描かれている。 でも、重くない。というか暗くなりすぎない。するっと引き込まれて、ばーっと一気に読めちゃう。 何でだろう。 途中、著者の従兄弟が手紙で言うように「ひなたを歩くひと」だからかな。辛い、悔しい、絶望、色んなことを味わう中でも、前を向いてる…フラットでいようとする自分がいる。 あと多分、いつもユーモアを忘れないからかなあ? 入院生活、リハビリの日々、ちょいちょいクスッと笑えるエピソードがはさまってくる。 文章もとても平易で、読みやすい。一人称が「おれ」なのも読み手を構えさせない一因かなー。 『私』でも『俺』でもなく、『おれ』。やわらかくて、好き。 この後、子ども(中学生&高校生)にも勧めようと思う。 同じ病気だ!って方にも、へーそんな病気あるんだーって方にも読んでみてほしい(*^^*)重くないっていうか、押し付けがましくないから。 映画化とかされたらいいのになあ。絶対おもしろい(愉快という意味ではなく)。 自分は医療者だけど、患者さんに寄り添えているのか、って毎日自問している。そして「出来ていない」と自省させられる。 点滴のポンプがなると、看護師が「呼んでもいないのにわざわざきてくれる。おれだけのために。点滴のアラームが、ご褒美のファンファーレのように聞こえ…」ってくだりはとても新鮮だった。こちらからしたら、アラームなんか鳴ったら患者さんが不安になっちゃう!って焦るのに。 奥様が、ノートに「瑳久君は大丈夫、大丈夫」って書いてた、ってエピソードも泣きそうになった。当時小さかったお子さんを抱えて、きっと不安だっただろうなぁ。でも、大丈夫、って言い聞かせて、岡田さんを支え続けた。支えるっていうか、お互いがお互いをものすごく大切に思いあい、支えあってる。愛だなあ……すごいなあ。 退院後の岡田さんが、かつてのリハビリの担当者である土居さんに「目標みたいなもの」と語ったこと。多分当時の彼にとって途方もないものだったかもしれない。だけど、成し遂げて、それを土居さんに報告するくだりはすごいよかった。 人それぞれ、色んな思わぬ壁にぶち当たるけど、「自然は直線を嫌うから、これまでもこれからも瑳久くんが進んでる道はずっと曲線なんだよ」ってことなんだろうな。岡田さんだけじゃなくて、誰しも。
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