英語科学論文をどう書くか 新しいスタンダード

保田幸子(著者)

• 販売会社／発売会社: ひつじ書房
• 発売年月日: 2021/12/07
• JAN: 9784823410802

商品レビュー

2023/02/17

　英語科学論文の執筆は, けっこう骨が折れます (多くの皆さんにご賛同いただけるでしょう). そもそも, 正確な・理解しやすい科学論文を執筆することは, 日本語であっても相当なスキルを要します. 言語が英語ならなおさらです. そのため, 数多くの英語論文執筆ノウハウ本が出版されています. しかし, こうした本の中には,「できる限り受動態を使うべき」や「IやWeといった主観的な用語は排除すべき」といったような膨大な量の「べからず」を集めたルールブックとなっているものもあります. 総ページ数400ページ超え!!!のような枕のような本のことです (笑). 確かに, こうしたルールブックのような本は, ある程度英語で科学論文を書く技術・習慣が身についている段階では, 辞書的に活用することで大変役立つと思います. しかしながら, まだまだ英語科学論文を書きなれていない人は, その細かいルールたちに翻弄され, 全く筆が進まなくなってしまう危険性があります (筆者がまさにそうでした).
　一方で本書は, 上述のような細かいルールにこだわるのではなく,「なぜ英語科学論文にはルールが多いのか」という原点から考え直すことで, 細かいルールの根っこにある, 英語科学論文執筆における俯瞰的な視座を提供してくれます. また, 類書に比べてページ数が少ないため, 英語科学論文執筆のエッセンスを効率的に学ぶこともできます. 特に, 本書の中盤以降に出てくる "Move" に注目した英語科学論文執筆の考え方では, Introduction, Methods, Results, Discussionにおける議論の展開の「型」を実例を交えながら紹介しており, 自分の論文の構成を考える上での大きなヒントとなります. 最後の章では, 英語科学論文執筆において, 筆者の主体性が重要視されつつある新しい潮流の中で, どのように主体性を表現し, どのように読み手をひきつけ, どのように読み手を導いていくのかを, これまた実例を交えて丁寧に解説しています. 本書を読むことで, 英語科学論文, ひいては日本語を含めた科学技術文書執筆の「はじめの一歩」を助けてくれると思います. 卒論・修論, そして投稿論文の執筆を始めたいけど, 何から始めれば良いのかわからない... そんなあなたにおすすめの一冊となっています. ぜひご一読ください.
（ラーニング・アドバイザー/環境学 SASAGAWA）

▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/4042218

2023/02/15

絶対読むべき。
英語に限らず論文を書くときに重要な話がたくさん書いてある。
主観を入れること、受動態を使うこと、曖昧さを入れること、強調することなどなど。
それ以外に、imradの意味や、各要素で何をどのように書くか、抽象的な説明と具体的な文章をセットにして解説してくれる。