商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2021/11/11 |
JAN | 9784488790011 |
- 書籍
- 文庫
大宇宙の魔女
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大宇宙の魔女
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
女性作家C・L・ムーアによるSF短篇集(全13篇+著者の自伝的スケッチ文)。筆名のC・Lは、キャサリン・ルシールの頭文字を略してあったため、当時は男性だと思われていたとのこと。ファンレターで、ミスター宛に送ったのが、ミスから返事があり結婚にいたったエピソードがあります。 さて、...
女性作家C・L・ムーアによるSF短篇集(全13篇+著者の自伝的スケッチ文)。筆名のC・Lは、キャサリン・ルシールの頭文字を略してあったため、当時は男性だと思われていたとのこと。ファンレターで、ミスター宛に送ったのが、ミスから返事があり結婚にいたったエピソードがあります。 さて、どの短篇も主人公は宇宙航路の無法者「ノースウエスト・スミス」の冒険譚です。主人公が同じなので、敵に負けたら続きがなくなってしまうため、必ず勝つだろうなと思いながらの読書は、ある意味ワンパターンかもしれない。 冒険譚とはいえ、自ら道を切り開いていくタイプの話しではなく、どれも事件に巻き込まれていくもので、そのほとんどが夢落ちのような精神攻撃に抗うもの。しかも、しつこいくらいに描写が細かくて、読んでいる途中でグッタリしてしまうかもしれません。タフガイな主人公と金星人の相棒がいますが、大宇宙というタイトルで、星々や銀河をまたにかけるアクションを期待するとがっかりしてしまうでしょう。 そもそも、1930年代というジェット機が存在していない時代に、タートル号やミレニアム・ファルコンのような宇宙船による冒険活劇を期待してはいけないのです。ただし、本作にも美女?はたくさん出てきます。と言っても、自分より美しい?女性?を登場させて、不幸な目にあわせて溜飲を下げているような気もしないではないですが… と、こんな事を書いていますが、ついていけないと思ったのは『狼女』だけで、他の作品は面白く読めました。以下3つほど紹介。 『シャンブロウ』は、H・P・ラヴクラフトが「大変な名作」であると絶賛していたそうですが、こういう作品が女性の想像するエロの一端として興味深かったです。 『神々の塵』は、スターウォーズのような異星人が集まる酒場が登場したり、J・P・ホーガンの『星を継ぐもの』の小惑星帯が出来た由来に似た記述があるなど、既にこの時代に書かれていることに驚きました。とはいえ、一番驚いたのは、神を熱線銃で焼き殺そうとしたシーンですが。 『緋色の夢』では、得体の知れない相手から逃げて来た娘に、スミスがいうセリフ「そいつが肉を食うなら」「傷つけられるはずだ ー おれには銃がある」というセリフがあります。ピンときた人もいると思いますが、映画『プレデター』でのアーノルド・シュワルツネッガーの名言「血が出るなら殺せる」に似ていてワクワクしながら読めました。 追記:『スターストーンを求めて』に出てくる「地球の緑の丘」という詩に強い感銘を受けて、『夏への扉』で有名なR・A・ハインラインが、作者の許可を得て自作の題名に使用したそうです。
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ならず者、無法者のノースウェスト・スミスが大宇宙を所狭しと大活躍、これぞスペースオペラの真髄と期待して読んでみたら・・・ ただ只管に精神に脳みそに受ける攻撃を、これでもかと執拗に書き込み、書いてるムーアさんの筆が、ほぼ暴走しまくるのに、僕は着いて行けず、スミスが絶体絶命もう駄目だとなる寸前、スミスの尋常ならざる根性で精神攻撃の反撃で僕には、謎だらけの状態なのに、勝っているのだ(勝ち負けと言う概念も当てはまらない気もするが) 読んでる途中で、こっちの精神が攻撃されて負けそうになる。いや完全に負ける。 これ、驚きに値するのは,1930年代に女性作家がこんな作品を書いた事と今にまで読み継がれていることだ。 僕には、ただ辛くて苦しい作品だったな。 ラブクラフトが絶賛したとの事だけど、確かにラブクラフトと同じ匂いがする。 アッカーマンも大好きだったんだね。競作まで有るんだから、それを思うと、僕が理解出来ないだけで、きっと大傑作なんだよね。
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太陽系にその名を馳せる無法者、ノースウェスト・スミス。常に腰に熱線銃を佩き、金星人の相棒ヤロールと共に、太陽系でも指折りのスピードを誇る高速艇「メイデン号」を駆り、違法な密輸取引などで荒稼ぎしている。 そんなノースウェスト・スミスが、荒っぽい仕事の合間、街角や酒場でふと遭遇する、...
太陽系にその名を馳せる無法者、ノースウェスト・スミス。常に腰に熱線銃を佩き、金星人の相棒ヤロールと共に、太陽系でも指折りのスピードを誇る高速艇「メイデン号」を駆り、違法な密輸取引などで荒稼ぎしている。 そんなノースウェスト・スミスが、荒っぽい仕事の合間、街角や酒場でふと遭遇する、謎めいた美女・美女・美女・(たまに謎の老人)・美女・美女・美女・(たまに・・・ ・・・飽きるわね・・・(^_^; C・L・ムーアの代表作としてあまりにも有名な冒頭収録作「シャンブロウ」は、10代の頃に読んだ記憶があります。独特のエロティシズムとエキゾティズムに溢れた幻想的な作品で、強く印象に残っています。「黒い乾き」も読んだことありますね。こちらも印象は「シャンブロウ」と同様で、SF風味は薄めですが個性的な作品で、この2作品に限ると似たような作品であるものの、他の作品もいつか読んでみたいなと思っていました。 しかーし。 ノースウェスト・スミスが登場する全作品、13篇をこうしてずらっとまとめて読むと・・・ほぼ同じ、です。 ノースウェスト・スミスが、異星(だいたい火星か金星)で謎めいた美女(たまに怪しい老人も絡んだりする)に出会い、声を掛けられフラフラとついて行った先で怪異に遭遇し、精神的な攻撃を受けて危うく負けそうになるその直前で、無法者ならではの生命力を発揮して敵を倒す or 相棒のヤロールに救出される。ストーリー展開は、こればっかりです。本当にこればっかり。 「シャンブロウ」と「黒い乾き」の印象が同様と感じた若き日の記憶は、間違っていなかったのね・・・(^_^; 主役であるはずのノースウェスト・スミスの「個性の無さ」も、とても印象的。「無法者」という概念にとりあえず血肉をつけてみただけ、という感じで、内面が深く描かれることはほとんどなく、ひとりの人間としての深みや面白味はありません。相棒のヤロールも同様で、やたらと「天使のように美しい」と外見ばかりが表現されて、内面描写はほぼ無し。さらに付け加えると、「メイデン号」はチラッと言及されるだけで、搭乗シーンすらなし(爆)。 思うに、ムーアが描きたかったのは妖しい美女たちと異世界の方であって、SF的舞台設定とノースウェスト・スミスの存在は、美女と異世界を引き寄せるための装置にすぎないのでしょうね。この作品群が発表されたのは、1930〜40年代。この時代に、女性作家ムーアが「男を襲う猛々しい女たち」を描き続けたということに(そして、男性優位の目線から抜けきれていないことに)、鴨は時代の必然性をちょっと感じたりしています。 ただですね、ムーアの筆致に、そんな問題意識は表立っては感じ取れません。何よりも、筆が走ってノリノリなんですよ。ムーア自身が、書いててとても楽しかったんだろうなぁ、と思えます。 このノリ、あれと似てるんですよ。同人誌と。 「ワイルド系イケメンと可愛い系イケメンが、謎の美女たちにあんなことやこんなことされちゃって、きゃー♡♡♡」 って感じなのよ、いやそう思うのはひょっとして鴨だけか!?(笑) 同人誌だと思うと、似たような筋立ての作品ばかり並んでいることにも妙な説得力が出てくるから面白いもんです。うん。 とまぁ、いろいろと突っ込みどころ満載の作品集ではありますが、このワン・アンド・オンリーな世界観は一度読んで損はないですし、ハマる人は堪らないんだろうなぁ、と思います。野田大元帥もそうだったのね・・・。
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