商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2021/11/11 |
JAN | 9784488011109 |
- 書籍
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ガラスの顔
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ガラスの顔
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商品レビュー
4.3
13件のお客様レビュー
2024.6 とにかく読み終わるまで時間がかかりました。中味が濃いので本の厚み以上にずっしりした小説です。 このような小説は途中でお花畑になったり迷走したりする場合もよくありますが、最後まできちんと読ませてくれた作家さんと翻訳者の方に感謝です。面白い小説でした。
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★5 地底都市で生き抜く少女が可愛い… 読めば読むほど夢見心地な世界に酔えるミステリ #ガラスの顔 ■あらすじ 地底都市を舞台に、健気な少女が街の謎を解き明かす、ファンタジーミステリー。 この世界の人々はなんと表情を持たない。「面」という表情を「面細工師」から習うことにって身...
★5 地底都市で生き抜く少女が可愛い… 読めば読むほど夢見心地な世界に酔えるミステリ #ガラスの顔 ■あらすじ 地底都市を舞台に、健気な少女が街の謎を解き明かす、ファンタジーミステリー。 この世界の人々はなんと表情を持たない。「面」という表情を「面細工師」から習うことにって身に着けることができる。上流階級は多くの面を持ち、労働階級は必要がないとされ、少しの面しか持っていない。 そんな世界で、チーズ作りがされている地下迷宮に迷い込んでしまった少女。親方に拾われた彼女は、珍しい特徴をもっていたために顔にお面を付けられ、チーズ作りの修行を行うことになる。長い間、同じ場所にいた彼女は、外の世界に希望を見出すようになる。ある日、外に出られる穴を見つけた彼女は… ■きっと読みたくなるレビュー いつも見たこともない異世界に誘ってくれるハーディング。今回も夢見心地な読書を楽しませていただきました。幻想小説なので、是非じっくりと時間をとって読んでみて下さい。できれば二回、三回と繰り返し読むことで、真の味わいが得られる名作だと思います。 本作は何と言ってもファンタジーな世界観が素晴らしいすぎる。物語の序盤、いきなり異世界を体験することになるのですが、すぐにワクワクが止まらなくなります。表情を持たない世界で、幻を見せるチーズ、記憶を操作するワインなど不思議なアイテムが物語をけん引してゆく。 さらに読み進めていくと、まるで宮崎駿アニメのようなストーリー展開になってくる。好奇心が強い少女が街へ飛び出し、見たことのない景色や大切な人との出会いを経験してゆくのです。そしてトラブルに巻き込まれ、誰が味方で誰が敵か分からないなか、健気な少女が大冒険を繰り広げていくのです。 主人公の少女は、自らの特徴がさらに問題を大きくしてしまうのですが、後半をその特徴を武器に難局を切り開いてゆく。ファンタジー冒険小説として、マジで完璧な設定と語り口で、もはや感嘆の声しかでませんでした。 そして本作はミステリーとしても凄い。主人公の少女は何者なのか、なぜ重要なことを思い出せないのか、誰が敵で誰が味方か、支配層が隠している秘密とは何か、何故こんな格差社会になっているのか。 他にもたくさんの不思議がありすぎて、半ば混乱もしますが、後半から徐々に真相が明らかになっていく。だからこうだったのか! そんな背景があったのか!と、納得性が鬼高なんですよね。さらに真相解明からラストシーンへ流れが美しすぎて、もはや感動レベルでした。 なにより主人公の少女が一生懸命でカワイイんですよ。不安なこともいっぱいながらも、何にでも興味津々で前向き。勇敢で責任感が強くて友達思い。千と千尋の神隠しの「千」みたいに守って応援したくなるようなキャラクターなんです。こんなにも輝いている少女をみていると、何にでも挑戦できるような勇気をもらえてしまいますね。 年末に素晴らしい作品を体験することができました、ありがとうございました。 ■ぜっさん推しポイント 表情「面」。この世界で富裕層はたくさん持ち合わせていて、労働層は必要とされていないものである。 現実世界もおいても、最下層労働者は日銭を稼ぐのが精いっぱいで表情は乏しく、経済的に余裕のある人は色んな表情をたくさん持ち合わせているような気がします。 ただ表情をたくさん持ち合わせていることで人は幸せになり、より良い人間関係が築かれるとも限らない。本書の主人公のように、素直で精いっぱいの人生を生きることが、自分自身を引いては周りを幸せにしてくれるのでしょう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
フランシス・ハーディングの邦訳4冊目にあたる小説。といっても、先の3冊よりは前に書かれたものらしい。舞台は架空の地下都市「カヴェルナ」。カヴェルナで暮らす人々と違い、面(おも)を持たない少女ネヴァフェルが自分のルーツと、カヴェルナの真相を解き明かしていく物語。冒頭からチーズづくりの描写や、虫くいランタン、記憶を消すワインなど、設定が摩訶不思議で、前回の小説の感想にも書いたが、良くこんな事思いつくなあと感嘆する。カヴェルナの人々は表情を持たず、面と言われる技術(その場面にふさわしい表情)を習得するのだが、ネヴァフェルは面を持たず、普段は仮面を着けて暮らしている。 ネヴァフェルが無自覚に行動していくたびに、最低必要限の面しか持たない貧困層と、いくつもの面を習得できる裕福層に分かれ、格差社会の構造が浮き彫りになっていく。最初はなんかパッとしないネヴァフェルが、仮面を外したあと覚醒したかのように成長していく様子と、社会の大きな歪みが元となり崩壊していくカヴェルナが物語のクライマックスである。最後に夢にまで見ていた、美しい地上に降り立つネヴァフェルたちのラストシーンは印象的だった。
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