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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2021/08/12 |
JAN | 9784480510655 |
- 書籍
- 文庫
消費社会の誕生
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消費社会の誕生
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
予想外に面白かったです。舞台は16-17世紀のイギリス、登場人物は歴史的に有名な人ではなく当時の英国の庶民層、ということで、これだけですと果たして面白い本なのだろうかといぶかる人もいるかもしれません(特に日本人にとっては時代も国も違いますので)。しかし、これが面白い。なにぶん著者...
予想外に面白かったです。舞台は16-17世紀のイギリス、登場人物は歴史的に有名な人ではなく当時の英国の庶民層、ということで、これだけですと果たして面白い本なのだろうかといぶかる人もいるかもしれません(特に日本人にとっては時代も国も違いますので)。しかし、これが面白い。なにぶん著者の文筆力の高さが第一にありますし、翻訳も一流だと思います。 本書では、産業革命前に英国で庶民に広がりつつあった起業/消費社会をいきいきと描いています。具体的には時代を3つに区切り解説しています。 1. 諸事業の創設時代:1540~1580年 2. 腐敗の時代第1部:1580~1601年 3. 腐敗の時代第2部:1601~1624年 ここでのキーワードは、庶民の生活にゆとりが出てきて、必ずしも生活必需品でない製品が庶民によって生産され、庶民によって消費される時代が来た、ということです。その典型例が染色業や靴下編み業、タバコ製造業、ピン製造業、ノリ製造業(衣服にひだをつけるため)などです。これらの製品は大陸欧州から輸入されるものが多かったのですが、オランダをはじめとした諸外国から職人を誘致し、英国内で自家生産することを目指します。これによって例えば小作農民などは副業収入が増え、それによって自分たちも生活必需品以外の商品を買えるようになった、というわけです。 本書が面白いのは、ここからさらに時代を下っていくと特許制度が登場し、生産事業者の数の制限や、特許料の徴収などを通じて、いわゆる「腐敗の時代」が到来する、という点でしょう。興味深いのは、零細事業者ほど特許徴収者の目から逃れて事業を継続した、という点です。金の匂いがすると、そこに群がる連中がいます。それは腐敗、そして社会の不安定にまでつながったということです。400年以上前の英国が舞台の本ではありますが、なにやら人間の特性に関する現代との共通点を多く感じ、大変興味深く読みました。
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産業革命を消費社会の成り立ちとする論が主流だが、それ以前の16世紀に既に消費社会は誕生していたと主張する本書。 輸入削減と貧困者雇用のために、消費用品製造業を促進する政策がとられ、これまで贅沢品として貧困者が手にすることがなかった多くの商品が、誰もが購入できるさまざまな品質、価...
産業革命を消費社会の成り立ちとする論が主流だが、それ以前の16世紀に既に消費社会は誕生していたと主張する本書。 輸入削減と貧困者雇用のために、消費用品製造業を促進する政策がとられ、これまで贅沢品として貧困者が手にすることがなかった多くの商品が、誰もが購入できるさまざまな品質、価格で製造されるようになった。 またそれらの商品は妻や子供など家族で生産されるケースも増加し、家族あたりの収入量が増加、より消費傾向が高まる。 国内生産力が高まることで、輸入品目が輸出品目へと変化し、イギリス全体が消費社会へと転換していった。 と言う主張を、少し難しい言葉で書かれている本。
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