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ペリリュー ─楽園のゲルニカ─(11)
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ペリリュー ─楽園のゲルニカ─(11)
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商品レビュー
4.6
17件のお客様レビュー
エピローグにしては、あまりにも読後感が良過ぎる。「戦争のことは何も思い出しくない」という人もいるなか、帰国してからも戦争と向き合い続けた田丸は本当に凄いと思う。上手く言葉に出来ないが、彼の言動ひとつひとつに刺さるものがあった。片倉の「話を聞けば体験していなくても描けるとお考えです...
エピローグにしては、あまりにも読後感が良過ぎる。「戦争のことは何も思い出しくない」という人もいるなか、帰国してからも戦争と向き合い続けた田丸は本当に凄いと思う。上手く言葉に出来ないが、彼の言動ひとつひとつに刺さるものがあった。片倉の「話を聞けば体験していなくても描けるとお考えですか?」という作品の根底を覆しかねない台詞もまた良い。戦争のリアルを知る者が減ってきているからこそ、読み手側も漫画から戦争体験者の想いを汲み取る努力が必要なのかもしれない。
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かわいくてゆるい絵柄に反し、内容はとてもリアルでシビア。 ペリリュー等での戦いを史実を土台にしながら、あくまでフィクションとして、マンガ作品として完成させたもの。 ペリリュー島での戦いは、兵の数も物資の数も勝る米軍に圧倒的有利があり、すでに日本軍は壊滅状態、散り散りに生き延びた...
かわいくてゆるい絵柄に反し、内容はとてもリアルでシビア。 ペリリュー等での戦いを史実を土台にしながら、あくまでフィクションとして、マンガ作品として完成させたもの。 ペリリュー島での戦いは、兵の数も物資の数も勝る米軍に圧倒的有利があり、すでに日本軍は壊滅状態、散り散りに生き延びた兵たちが集まり、潜伏し、ゲリラ戦をこなしていく。 だが、補給もなければ情報も届かない中、主たる戦いは食糧の調達となり、飢餓と病に苦しめられていく。 そんな、ずっとジリ貧の中、敵に対してだけではなく、味方同士でも疑心暗鬼となる様は、本当に苦しいものであった。 かつて、「バトル・ロワイアル」という小説が流行った。藤原竜也主演で映画化もされたあの作品だ。 訳もなく突然命懸けの戦いに放り込まれる中学生たちの多くが、些細なことでお互いを疑い、殺し合ってしまうストーリーだ。 現実の戦争と比較するのには弊害もあろうが、ペリリューを読み終わった後、わたしは「バトル・ロワイアル」を思い出した。人と人の理解と信頼が崩れ、殺し合いが止められなくなる様が重複したからだ。 考えや価値観が違う、人種が違う。 それでも多くの人は、本当は、自分や自分の大切な人を守りたい、平和に暮らしたいと思っている。 同じ思いなのに、分かり合えずに戦争をする愚かさと虚しさが、とにかく悲しかった。 吉敷くんがとてもいいキャラクターで、一番魅力的であっただけに、想定しうる結末を覚悟していたが、やはり悲しかった。 彼の姿が最後消えてしまうのは、作者も彼の結末を絵として決定づけることが辛かったからなのではとつい思ってしまった。 最終巻の表紙は、美しい南の島にみんなが揃っていて、現実でも無念のままあの地に眠る若い彼らを弔っているようだった。
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太平洋戦争末期の激戦地の一つ、ペリリュー島。玉砕も許されず、来るべき反転攻勢に備えて持久戦を強いられた兵士たち。糧秣も底をつき、敵と戦うよりも食糧を探す日々。仲間同士の諍い、病気や怪我により失われる命。生きて故郷に戻れる確約もなくひたすらに耐え忍ぶ姿。 終戦の事実も知らされず、戦...
太平洋戦争末期の激戦地の一つ、ペリリュー島。玉砕も許されず、来るべき反転攻勢に備えて持久戦を強いられた兵士たち。糧秣も底をつき、敵と戦うよりも食糧を探す日々。仲間同士の諍い、病気や怪我により失われる命。生きて故郷に戻れる確約もなくひたすらに耐え忍ぶ姿。 終戦の事実も知らされず、戦後一年半も隠れ、生き延びて故国日本に帰り着いた兵士は僅か34名。 この辛い事実が何処かほのぼのとした絵で描かれていることが救い。生きて共に日本へ帰ろうと誓い合い、助け合った田丸と吉敷の友情に胸が熱くなった。若き指揮官島田少尉の葛藤と後悔は想像するだに苦しい。 終戦記念日を前に、この作品を読み通せてよかった。
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