文化としての科学/技術 岩波現代文庫

村上陽一郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2021/03/15
• JAN: 9784006004316

商品レビュー

2025/02/12

科学研究の変化

- 研究内容の専門化
- 研究成果を理解できる人々が減少しているため、論文の評価が専門家に依存することが多くなっている。
- ピア・レビュー制度の導入により、論文の質が専門家の判断によって決まる。

- ピア・レビュー制度の普及
- 科学のみならず社会科学や人文学にも取り入れられるようになっているが、必ずしも内的必然性からではない。
- 行政の影響により、レフェリー制度を取り入れない領域は質が低いと見なされることがある。

- 科学者の動機
- 科学研究は科学者の内発的な好奇心に基づく自己充足的な行動であり、共同研究は少ない。
- ノーベル賞は個人の業績を評価するものである。

研究の公表と流通

- 論文の発表形式
- 研究成果は論文として公表されるが、その評価は専門家のピア・レビューに基づく。
- 知識は専門家の間でのみ流通する「自己閉鎖性」がある。

科学と社会の関係

- 戦争と科学
- 科学の成果が実用的な目的で利用されるようになったのは、第一次世界大戦の影響が大きい。
- 戦争の技術的課題の解決に、化学的研究が役立った事例がある。

- 国家と科学者
- マンハッタン計画のように、国家が科学者を利用する事例があった。
- 戦後の宇宙開発は、国家の威信を高めるために行われた。

ネオタイプの科学研究

- プロトタイプとネオタイプの違い
- ネオタイプの科学研究は、外部の人間や機関によって目標が定められ、科学者の労力が搾取される状況で進められる。
- プロトタイプの科学は自己完結的であったが、ネオタイプは外部の要求に応じている。

- 科学者の行動規範
- プロトタイプでは、科学者の行動規範は内部のギルド的職業倫理に基づいていた。
- ネオタイプでは、研究者は社会への責任を自覚し、その影響を考慮することが求められる。

教育と科学

- 理科教育の役割
- 中等教育では、理科教育が現代科学の理解に適性を持つ生徒を選別する役割を果たしている。
- 社会科や歴史の教育内容は、現代の学問的状況と結びついていないことが多い。

- 科学と社会の相互関係
- 科学は社会を動かす不可欠な要素となり、社会と科学の関係は相互に浸透している。
- 一般の人々は、科学に対する知識の必要性を感じている。

専門家と社会

- 専門家の役割
- 政治と専門家集団の関係は密接で、特に官僚組織が重要な役割を果たしている。
- 一般社会と研究成果の接点に立つことができる専門家の育成が期待されている。

- 新型コロナウイルスへの対応
- 専門家集団が政治と関わる姿勢は慎重であり、各国の政策決定者の選択肢は多様であった。