10大民族で読み解く世界史の興亡 歴史の主役に躍り出た民族の素顔とは KAWADE夢新書

宮崎正勝(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2021/02/18
• JAN: 9784309504209

商品レビュー

2024/10/12

インド・ヨーロッパ語族や、セム、ハム語族などの括りが、案外いい加減なんだな。民族も、もとを辿れば同じ人種も多く、ここで取り上げている10大民族も遡れば同じ、そんな者たちが命の取り合いをしている。それでは国の括りはどうなのか？内戦や移民などを見ても国としての区分も曖昧になってきている。個人レベルでの協調は信じるが、あまりに各国の為政者が自国主義(自分主義)に走り、殺し合い以外有効策を考えられない無能を晒している。国、民族を超えた世界平和はいつくるのだろうか？

2024/05/15

イラン人。ポロ競技の起源はペルシア。▼逃げると見せかけて振り向きざまに矢を射るパルティアン・ショット(ローマ人に脅威を与える)。▼シルクロードはソグド地方からインド、西アジア、東アジアへと商業路が広がっていった。▼ゾロアスターかく語りき。▼ササン朝は過度の圧制により商業が停滞し、神の前の諸民族の平等を説くイスラム勢力に取って代られた。

アラブ人。メッカに火を噴きながら落ちてきた黒い隕石を、アラブ人は「ズハル」と名付け、祠(ほこら)に祭った(のちのカーバ神殿)。メッカは多神教信仰の中心地だった。だからムハンマドは当初メッカでの一神教の布教を諦めて、ヤスリブ(メディナ)へ移動した。▼ムハンマドはダマスクス(シリア)に商売で訪れたときに、一神教(ユダヤ教)に出会い、強い影響を受けた。▼リスク(海図のない航海)・マガジン(いろんなものが雑多に収められる倉庫)・チェック(小切手)はアラビア語起源。

モンゴル人。唐はモンゴル系の鮮卑人が作った王朝。▼モンゴル系のキタイ人(契丹人)が中国の北部に遼を建国。元の時代に中国を訪れたマルコ・ポーロは中国の北部を「カタイ」と呼んだ。この「カタイ」が英語訛りで「キャセイ」となり、香港の航空会社キャセイ・パシフィックの名前になった。▼元王朝のモンゴル人は、南宋の漢民族を野蛮な奴らという意味で「蛮子」(マンズ)と呼んだ。マルコ・ポーロの東方見聞録でも中国の南部は「マンズ」として紹介された。▼ワールシュタットでヨーロッパ人はモンゴル人に恐怖心を抱き、奈落の神タルタロスのように恐ろしい人々という意味でモンゴル人を「タルタル人」と呼んだ。▼モンゴル語のhuraa(万歳)がロシア語のura(万歳)になった。

※日本が日清戦争に勝利した後、ヴィルヘルム２は日本は西欧にとって脅威であり、欧米諸国は結束して日本を抑え込むべきだと主張した。p.33
※インドでヒンディー語が通じるのは人口の4割。
※ルーム・セルジュークの「ルーム」はローマの意味。
※世界史は長い間、別々の民族が互いに争っていたが、二つの世界大戦では同じゲルマン民族のイギリス人とドイツ人が争って自滅した。民族の時代から国の時代に移ったことを示している。