商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 柏書房 |
発売年月日 | 2020/12/26 |
JAN | 9784760152599 |
- 書籍
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カンマの女王
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カンマの女王
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商品レビュー
3.4
7件のお客様レビュー
ふんわりと「超高級誌?」みたいなイメージしかないザ・ニューヨーカーにお勤めだった方のエッセイ、と言われたら私と何の接点もないねーと通り過ぎるわけだが、この筆者のお仕事が校正係と言われたら俄然興味が湧いてくる。校正も含む紙に印刷するものの周りをうろうろ仕事をしている身としては、どん...
ふんわりと「超高級誌?」みたいなイメージしかないザ・ニューヨーカーにお勤めだった方のエッセイ、と言われたら私と何の接点もないねーと通り過ぎるわけだが、この筆者のお仕事が校正係と言われたら俄然興味が湧いてくる。校正も含む紙に印刷するものの周りをうろうろ仕事をしている身としては、どんなことが書いてあるのか興味津々で手に取った。 第一印象は……読みにくい。何しろ横組みである。内容がカンマだダッシュだアポストロフィだと英文の引用がわんさか出てくるので横組みでなければ始まらないわけではあるが、精神的な障壁が3割増しである。さらに訳文が入ってきづらい。きっと元の文章そのものもおしゃれでちょっと斜に構えていて気の利いたことが書いてあるクセ強めの文章なんだろうと思うのだ(推測に過ぎません)が、それを同じテイストで訳すのは無理なんだろうけどどこに問題があるのか(私に問題がある可能性も大ではあるが)とにかくすんなり入ってこない。 が、その最初のバリヤを乗り越えてなんとか文章を気にせずガシガシ読むモード(翻訳モノこなしモードと称する)に移行できてからは面白く読んだ。特にシリアル・カンマ! シリアル・カンマとは「AとBとC」を英語で書いた場合「A, B, and C」と書く時のカンマである。その昔、このandの前のカンマが要ると言われた時の割り切れない気持ちは今でも思い出せる。要らなくない?と思いつつハウスルールに従っていたわけだが、その頃の私にこの例文を教えてあげたい! We invited the strippers, JFK and Stalin. https://languagelog.ldc.upenn.edu/nll/?p=3438 これは大変。どこにどんな誤解の可能性が潜んでいるとも限らないから、やはりandの前には必ずカンマを打とう。ということで、ここまででじゅうぶん元をとった気持ちになれた。 しかし後半はこれを上回るお楽しみが待っていた。鉛筆の話である(第10章 鉛筆狂のバラード)。昔は湯水のように潤沢に提供されていたNo. 1の鉛筆(日本で言うとB)がだんだん手に入らなくなりやっと手に入ったら思うように使えず、という筆記具のこだわりの話に過ぎないのだが、最近似たような経験をしたので身にしみたのである。家人のために0.7ミリのシャープペンシルを探したのだがこれがなかなか見つからなかった。替え芯は時々売られていたのだが本体がどうにも思うようなものが見つからない。昔はよりどりみどりだったような記憶があるのだが、夢だったかな?と思うほど見つからなかった。0.7ミリ使いやすいんだけどなあ。 というわけで、誰にでも気軽に薦められるかと問われればちょっと迷うけど、紙に印刷されているものが好きな人なら、どこかに引っかかるものがあるのではないかと思われる秀作でした。
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日本語の句読点も怪しいワタクシがこんな本読むのは百年早い気もしますが…さすが「カンマの女王」、シリアルカンマの重要性には心底痛感しました。 ところで。人称代名詞の話んとこで、主格が目的格よりフォーマルに響く…って、ネイティヴでない身には全然ピンと来ないけど、じゃあ、二人称の主格...
日本語の句読点も怪しいワタクシがこんな本読むのは百年早い気もしますが…さすが「カンマの女王」、シリアルカンマの重要性には心底痛感しました。 ところで。人称代名詞の話んとこで、主格が目的格よりフォーマルに響く…って、ネイティヴでない身には全然ピンと来ないけど、じゃあ、二人称の主格と目的格が同じ(you)ってのは、感情的にどう処理をつけてるもんなんだろ。
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アメリカの老舗雑誌『ニューヨーカー』のベテラン校正係が語る、他人の文章を直す仕事の悲喜こもごも。 著者は酪農の世界から校正に転じた経歴の持ち主で、本書が出る前からYouTubeで人気を博し、そこで"カンマ・クイーン"と呼ばれているのだという。 なんとなくコ...
アメリカの老舗雑誌『ニューヨーカー』のベテラン校正係が語る、他人の文章を直す仕事の悲喜こもごも。 著者は酪農の世界から校正に転じた経歴の持ち主で、本書が出る前からYouTubeで人気を博し、そこで"カンマ・クイーン"と呼ばれているのだという。 なんとなくコーリー・スタンパーの『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』(2021/4/13読了)に近しいものを感じて手に取ったのだが、はたして本書にもまさにウェブスター辞書そのものを語る章が。だが、〈記述主義〉の現代ウェブスターに対して『ニューヨーカー』の校正方針は〈規範主義〉寄りのため、ノリスはウェブスターに批判的ではある。『ニューヨーカー』がこんなにもガッチガチの独自ルールで表記法を定めている雑誌だとは知らなかった。 なので、スタンパーの本のような現代アメリカが浮き彫りになるような社会的なテーマ性は薄い。トランスジェンダーをカミングアウトした妹(元・弟)をどの代名詞で呼ぶべきか苦悩するというエピソードはあるが、個人的な体験談にとどまっている。そういう期待を一旦置いておけば、本書は英文法トリビアに溢れる楽しい本だ。ジョージ・ソーンダーズやイアン・マキューアンが例文になるならなおさら。 でも一番面白かったのは校正そのものの話ではなく、仕事の必需品について語った「鉛筆狂のバラード」。お気に入りが廃番になる悲しみや鉛筆削りの博物館に愛用の品を寄贈したことまで、ここでの語り口が一番のびのびしていて楽しかった。
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