ルーパートのいた夏

ヒラリー・マッカイ(著者), 冨永星(訳者)

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 2020/12/17
• JAN: 9784198652111

商品レビュー

2021/07/29

100年以上前の英国のお話。
少女クラリーを軸にした日々が淡々と描かれる。
クラリーが子どもの頃、一番の楽しみは兄と従兄弟ルーパートと共に過ごすコーンウォールの素晴らしい夏の日々だった。
のちに第一次世界大戦に巻き込まれていく中で思い出すコーンウォールの夏の日々は輝きを増す。

淡々とした描き方だからこそ、大切な人を想う気持ちが静かに心に沁みてくる。サイモンの秘めた想いの強さにも胸打たれた。

時代の変動によって価値観が大きく変わる時を、女性がどう生きようとしたかも読みどころだ。

子ども時代の夏の想い出を懐かしく振り返る大人の方にも、ぜひ読んでもらいたい。

2021/07/12

集中力が落ちているので読み終えるのに時間がかかってしまいましたが、最後の数章あたりからじわじわと、そして最後はありきたりの言葉だけれど感動。

この時代のイギリスのことを知らなかったので、それだけでも私にとっては十分読む価値のある１冊でした。

小学校高学年から読めるとのことですが、やはり登場人物と同じ世代にあたる中高生にじっくり読んでほしいと思います。
学校で歴史を習うより、ずっとためになるはず。

2021/02/21

第１次大戦前後のイギリス，プリマスで子供に無関心な父のもとクラリーは兄ピーターとともに育つ．コーンウォールの祖父母の家には従兄弟のルーパートがいた．彼の明るさがクラリーの支えだった．学問への道や友情，そして不器用な兄の思いなどクラリーは素直に賢くそして何より愛に満ちた女性になっていく．戦争の悲惨さ，女性の学問や自立といったことまた同性愛などの問題も物語の中に忍ばせて，豊かな自然と素朴な愛を描いた感動に満ちた物語だ．