文字に美はありや。 文春文庫

伊集院静(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2020/11/10
• JAN: 9784167915988

商品レビュー

2022/02/24

古今の書の魅力を論じた本。
取り上げられるのは、王羲之や顔真卿、空海といった、お習字をするときのお手本になる名筆だけでない。
というより、むしろそれは例外。
戦国武将に幕末の志士、江戸の俳人、近代の作家、画家、現代の芸人まで、かなり幅広い。

私は十五年ほどお習字を習っている。
中国の古典を臨書することが多いのだけれど、先生に「次は何をやりたい？」と聞かれ、ちょっと困ることがある。
そういうこともあって、書道史を学べるかと思って、本書を読んでみることにしたのだが…。
こういうニーズにはあまり本書は向いていない。
この本は、その書を書いた人々に、関心が向けられているからだ。

伊集院さんの本を読むのも、実際今回が初めてだ。
「文藝春秋」への三年近い連載をまとめた文章だそうで、どの章もコンパクトにまとめられている。

たしかに、人物が本位の文章なので、面白いといえば面白い。
細川ガラシャの書状も、ここで初めて見た。
流麗を通り越して…もはや葦手のよう。読めない…。
漱石の字を、今回初めて書として見た。
繊細というか、粘着質な感じも受ける。
荷風の字の几帳面さにも驚いた。
なんて具合に、いろいろなタイプの書を眺めて楽しめた。

2020/10/20

【空海、信長、芭蕉、龍馬…歴史上の偉人たちが書いた文字とは？】文字に美しい、美しくないということが本当にあるのか。?書聖?王羲之に始まり国内外を問わず歴代の名筆、名蹟をたどって考察する。