商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2020/10/15 |
JAN | 9784152099747 |
- 書籍
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スケール(上)
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スケール(上)
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商品レビュー
4.1
10件のお客様レビュー
とても面白かったです。しかも数式など全く出てこない中で一般の読者にもわかるように解説されていることがよく伝わりました。上巻ではスケールフリーの概念について解説しつつ、主に生命を題材にそれをあてはめています。微生物からクジラまで、様々な生命活動が「べき関数」に従って動いていること、...
とても面白かったです。しかも数式など全く出てこない中で一般の読者にもわかるように解説されていることがよく伝わりました。上巻ではスケールフリーの概念について解説しつつ、主に生命を題材にそれをあてはめています。微生物からクジラまで、様々な生命活動が「べき関数」に従って動いていること、つまりXとYの関係性を考えた場合、XとYの両方を対数化すると直線のように見える、という特徴があることを様々なデータから示しています。 具体的には2つの挙動を示すのですが、1つは経済学でいうところの「規模に関して収穫逓増」、つまりインプットが倍になると、アウトプットは倍以上になる関係があり、本書ではそれを「超線形スケーリング(つまり傾きが1より大きい)」と呼びます。これは例えば都市で見られるのですが、人口規模が2倍になると、GDPや特許数、犯罪数など様々な指標が2倍以上になる、具体的には15%のボーナスが生まれます(つまり犯罪も2倍以上になる)。 もう1つが「スケールメリット」つまり規模が倍になると、効率性が高まる現象です。本書ではそれを「線形未満のスケーリング(つまり傾きが1より小さい)」と呼びます。たとえば大きさが2倍の動物が必要とする食料とエネルギーは、単純に2倍(100%増)にはならず75%増にしかなりません。つまり25%の効率性アップが起こっていることになるわけです。 上巻の最後からは都市の話が始まりますが、現代社会は人新世ならぬ都市新世だという主張は興味深いです。人類がこれだけ経済発展できた背景には、都市への人口集中があった、それによって「超線形スケーリング」と「線形未満スケーリング」(エネルギー効率など)の恩恵を受けてきたという主張です。ここで思ったのは、デジタル技術の本格的な普及とスマートシティの登場によって、この法則は崩れるのか否か、という疑問です。本書ではそのあたりの議論は行われていませんでしたが、デジタル技術がスケールを増幅する可能性もあるのではないかと感じました。
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都市の道路、電線、水道管の全長、ガソリンスタンド数などのインフラは、都市の規模の0.85乗に比例する。賃金、資産、特許、エイズ患者、犯罪、教育施設などは、都市の規模の1.15乗に比例する。 薬物の服用量はまだ結論が出ていないが、代謝物質と酸素と同様に拡散やネットワーク系を通じて...
都市の道路、電線、水道管の全長、ガソリンスタンド数などのインフラは、都市の規模の0.85乗に比例する。賃金、資産、特許、エイズ患者、犯罪、教育施設などは、都市の規模の1.15乗に比例する。 薬物の服用量はまだ結論が出ていないが、代謝物質と酸素と同様に拡散やネットワーク系を通じて表層膜から表層膜へと運ばれているため、器官の総体積や重量よりも表面積に左右される。 微粒子で散乱した光波の強度は、波長の4乗に比例して減少するため、太陽光は大気中の微粒子によって散乱し、最短の波長である青が支配的になる。 細胞内のATPの生産量は、温度が10℃上がるごとに2倍になり、2℃の変化でも成長率と死亡率に20~30%の変化をもたらす(体温低下により寿命が延びる)。
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物理屋さんの視点で書かれた現象解析的な切り口の本。面白かった。面白かったので、日本の都市についてもデータ分析してみようと思った。市区町村毎の人口と課税所得総額を両対数グラフにしたら、外れ値なとこがあって、そこを深読みしてみたい。ただ2倍で15%ボーナスかどうかは、ちょっとズレがあ...
物理屋さんの視点で書かれた現象解析的な切り口の本。面白かった。面白かったので、日本の都市についてもデータ分析してみようと思った。市区町村毎の人口と課税所得総額を両対数グラフにしたら、外れ値なとこがあって、そこを深読みしてみたい。ただ2倍で15%ボーナスかどうかは、ちょっとズレがありそう。
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