商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2020/09/28 |
JAN | 9784000248921 |
- 書籍
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ミンネのかけら
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ミンネのかけら
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商品レビュー
4.4
7件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
【2冊の本に影響された、素敵な人々との出会いと記憶】 ミンネとは、記憶、の意味。 先日読んだ村上春樹さんの一人称単数で、記憶の未知さみたいなものを感じながら読んだけれど、 今回の本は著者の冨原さんの自伝本みたいな形。 ムーミンの翻訳をなされた方と知る。 彼女の人生の歩みに決定的な影響を与えた本が初めに2つ紹介される。 一つは、大学3年の時にたまたま手に取ったシモーヌ・ヴェイユの本、 もう一つが、それからさらに15年して、大人になってから出会ったトーベ・ヤンソンの本。 だからこの本では、20代から、大学の寮生活、その後のフランス・ソルボンヌ大学大学院での留学、そこで出会った人びと、東京での社会人生活の30代、その間にできた友達、そして、フィンランドに行って、トーベ・やンソンの著作小説を翻訳に取り組む。 トーベ・ヤンソンさんと直接やりとりしたり、アトリエを訪れるのは本の中でも後半で、 それまでに出会った人々についても書き綴られている。 フランス留学中の友人、フランとトニー、カーン氏、日本に旅行に来たグニーラとマリ、… 一度当時過ごした場所を訪問したりして書かれたよう。 また、当時の社会背景も垣間見える。 フランスは1968年に五月革命があり、著者が留学中1981年にミッテラン・左派社会主義政権が誕生。 著者の研究していたシモーヌ・ヴェイユはそれ以前にレジスタンスに参加していた思想活動家。 カーン氏はユダヤ人であるが、ドイツ人哲学者のハイデガーなどとも深く交流していたらしい。 1988年にスウェーデンから日本に旅してきたグニーラは、労働関連の記事などを書くジャーナリストで、当時からすでにスウェーデンは福祉国家のしくみも価値観もあったんだなーと思ったり。一方マリはプラハの春の後に、チェコからフィンランドに亡命し、スウェーデンで医師として働いていた。 絶対にいろいろ大変なこともあったのだろうと思うけれど、特に言語を新たに習得して本を読んだり、論文を書いたり、しまいには翻訳まで成し遂げたり、 でもそういった著者自身の苦労、みたいなことがほとんど書かれていなくて、 実際に会った人々の素晴らしさ、みたいなのがとても多く伝えられているような印象だった。 きっと、その後にも、たくさんの素敵な人に出会っているのだろうなーと思う。人の素敵さに気付けることがスキルでもあるのかなと感じる。
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それまで ”ムーミンとヤンソンを紹介した人” という認識しかなかったけど、冨原さん自身もとてもすてきな方だということがわかった。 梨木香歩さんのエッセイが好きな人は楽しく読めると思う。同じ芯の強さがある。
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トーヴェヤンソン関連の書籍を通して冨原さんのことを知っており、その冨原さんのエッセイということで読み始めました。 「政府への貯金」という北欧の税金に対する考え方など、違う国の人々が自分の国の制度をどのように捉えてるかの具体的な描写が出てきて、勉強になるし面白かったです。 特に...
トーヴェヤンソン関連の書籍を通して冨原さんのことを知っており、その冨原さんのエッセイということで読み始めました。 「政府への貯金」という北欧の税金に対する考え方など、違う国の人々が自分の国の制度をどのように捉えてるかの具体的な描写が出てきて、勉強になるし面白かったです。 特に目当ての後半、ヤンソンパートはぐいぐい引き込まれました。 これまであまり描かれてこなかった、ヤンソンという人物を外側から描くものであり、スウェーデン系フィンランド人という彼女のアイデンティティを掘り下げるものであり、ムーミンが北欧やイギリスでどう訳され需要されてきたかの記録にもなっています。 それら全てを包み込むのが冨原さんの優しい語り口で、スッと頭に入ってきます。 その語り口も相まって、どんな研究書よりもリアルでイキイキとして手触りのあるトーヴェヤンソンの姿が描かれているように感じで、読んでいて嬉しくなりました。 変にトーヴェヤンソンを神格化したり美化したりせずに、等身大の普通の人間として描いていて、それも心地よかったです。フランス人でもスウェーデン人でもフィンランド人でもないからこそ、冷静で客観的に他国を観察できるのかも。そう思わせる文章でした。 そして、「たくさんの理解と誤解に感謝します」という言葉を読んで、やっぱりトーヴェヤンソンカッコいいな!と思いました。
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