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日本近代造船の礎 ヘダ号の建造
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 羽衣出版 |
発売年月日 | 2020/08/26 |
JAN | 9784907118570 |
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日本近代造船の礎 ヘダ号の建造
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ヘダ号再建プロジェクト会が2016年8月に発足していることを、本書を通じて初めて知った。 著者がこの発足に先立つ準備段階からヘダ号について調査し学んだことを、以下5編の少論考として纏めたものが本書である。 1. 日本近代造船の礎 洋式帆船ヘダ号の設計図を復元する 2. 幕末にお...
ヘダ号再建プロジェクト会が2016年8月に発足していることを、本書を通じて初めて知った。 著者がこの発足に先立つ準備段階からヘダ号について調査し学んだことを、以下5編の少論考として纏めたものが本書である。 1. 日本近代造船の礎 洋式帆船ヘダ号の設計図を復元する 2. 幕末における日露関係と朝幕関係の推移 ー新しい開国史観を求めてー 3. 幕末期におけるわが国への船台式ドックの導入 4. わが国における近代的洋式船建造技術の受容に関する一考察 5. 洋式帆船ヘダ号の石原藤蔵資料と横須賀海軍工廠造船部 ヘダ号に纏わる話は、吉村昭の著作「洋船建造」などで知ることができるが、船に焦点を絞った本書は、B6版191ページと比較的薄いが学術書的な性格もあって、少々姿勢を正して読み進んだ。下記の通り新たに注目する点もいくつかあった。 ヘダ号の建造は、西伊豆の戸田でロシアの技術者を中心に進められたが、現地の船大工達が総力をあげて協力して洋式帆船の建造を直に学んだ。この知識と技術を利用して、幕府はヘダ号に倣った西洋式帆船の建造に取り組み、戸田が当事「君沢(くんたく)郡」に属していたことから、これらの帆船を「君沢(きみさわ)形」と称し、10隻が量産された。 注目点 その1 ヘダ号建造では、村内から船大工棟梁7名が選ばれ、小論考にある石原藤蔵は棟梁頭取であった。日本の船大工は伝統的に設計図をもとに造船する習慣はなく、親方や先輩から木割の口伝と自らの経験をもとに船を造っていたが、藤蔵はヘダ号建造に際して克明にメモをとり、これをもとにヘダ号と君沢形の壱番船建造の間に縮尺1/10の小型サイズのスクーナー模型を試作し、同時に設計図が描かれたふしがあるという点である。これら設計図は戸田造船郷土資料博物館に寄託されている。 注目点 その2 次にヘダ号の進水方法である。弁才船に代表されるような和船は、船底が平らな航(かわら)なので造船も海岸/川岸の傾斜地で行われ、引き下ろされて進水した。洋式帆船は竜骨があるために、船台式ドックや乾ドックの造船所を必要とした。本書ではヘダ号の進水の考察がある。ヘダ号の完成は造船技術の習得に留まらず、西洋式の船台式ドックがわが国に初めて導入される端緒となった。 注目点 その3 ヘダ号は六梃櫓でもあり、その船速がロシア側で評価を得たことである。櫓は波浪のもとではオールに対して劣るが、穏やかな海面では優位性があるとの評価である。船大工が薦めた和式の櫓が評価されたことは、ヘダ号建造に際してロシア側からの技術的交流が一方通行ではなかったことが分かる。 欧米に比べてわが国の歴史的な船舶や海洋文化の保存は見劣りすると日頃から感じている。復元に際しては、例えば資金面の手当てや復元後に採算が取れる活用方法の検討など、素人目でもハードルは高い。近未来、プロジェクト会の成果が実現することを期待したい。
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