アンダードッグス

長浦京(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2020/08/19
• JAN: 9784041091395

商品レビュー

2024/08/09

裏表紙に書いてあるあらすじの五億倍はスケールが大きい物語。新手のあらすじ詐欺かと思った。もちろん、いい意味で。圧倒的に面白かった。まるで一本の映画を観終えたよう。
各国の諜報機関やあらゆる組織が背後に立つ、騙し騙されの諜報戦争に巻き込まれた主人公は元官僚の素人。だというのに、その道のプロを相手に引けを取らないどころか出し抜いていたこの主人公の頭がまあ切れること。けれども素人らしく冷酷になりきれないところや泥臭くてスマートじゃないところもあって、それが魅力的で、ひさしぶりに物語の人物に惚れてしまった。主人公以外の登場人物もかなり魅力的で、すきにならざるを得ない…。自分のことを負け犬だと自称する主人公だけど、あんなにも牙を磨いて相手の喉に噛みつく準備をしていたあなたを負け犬とは呼ばないだろうね。
なにより、そんな主人公の戦いを過去のものとして、並行する形で主人公の義娘の視点で語られる現在の物語があったことがすごく面白かった。それぞれの時代、視点から物語が紐解かれていくのはどきどきしてページをめくる手が止まらなかった。
こんなに大きなスケールのお話を最後まで減速させないどころか加速させて書き上げるなんて作者天才。読んでいるあいだずっと楽しかった。最後に救いがあったのもよかった。他の作品も読んでみます。

2024/05/20

☆3.4
映画か海外ドラマを見ているような作品。

内容自体とは違うところでの感想を少し。

良くも悪くも返還前の香港の街の描写が私個人的には大好きです。
美しいところもそうでないところも、
陰と陽が入り混じり　結果混沌した陰の世界。
明日何が起こるかもわからない　そんな危うい世界観が漂う街。

そして作者の粋な計らいなのか、ハッとするほどの美しい表現。

そんなところを楽しみながら読みました。

2023/08/22

95リリーもスパイものだったけど本作も国が入り乱れての謀略もので、もっとスケールの大きな世界の変換点を見ているような大作だった。もっと早く読めば良かった。長浦京はこれからも読むよ。