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英米文学者と読む「約束のネバーランド」 集英社新書1031
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2020/08/17 |
JAN | 9784087211313 |
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英米文学者と読む「約束のネバーランド」
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英米文学者と読む「約束のネバーランド」
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商品レビュー
4.1
10件のお客様レビュー
第40回ビブリオバトル〜明石の陣〜テーマ「きよい」で紹介された本です。オンライン開催。 2022.1.13
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南山大学 所蔵なし 愛知大学 豊橋図書館 所蔵あり 週間少年ジャンプの人気漫画『約束のネバーランド』の数々の名シーンを引用しつつ、気鋭の英米文学者が学術の立場から読み解こうと試みた考察本にして、英米文学・文化への最良の入門書。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ー このように、貴族鬼達の倒錯した欲望の対象となる食用児達の状況は、まるで「母親」によって管」理され、不自由だが安全に守られた家庭で暮らしていた無垢な子供が、やがて大人へと成長するため「外」の世界へと飛び出し、その結果、「男」達による暴力や欲望の対象となり、翻弄されるという、子供から大人への成長の過程を象徴するかのようです。 伝統的なジェンダーに沿った物語であれば、眠り姫は性との接触によって一時的な昏睡状態に陥り、やがて彼女をその眠りから覚ます王子と結婚し、女性 =母親という古典的な価値観に順応することで、大人へと成長します。 もしも『約ネバ』が旧来のジェンダー観にもとづいて描かれていたならば、レウウィスによって傷つけられ意識を失ったエマは、男性キャラクターによって救われ、その男性と結ばれる、というお決まりの流れに落ち着いたかもしれません。 しかし、エマは自らの力で意識を取り戻し、レウウィスを倒す決定打となる閃光弾を撃ちます。「女性=母親、弱者、守られるべき者」といった古典的なジェンダーをはねのけ、自らの力で男性の脅威に立ち向かい、仲間と共に打ち倒すエマの「強さ」は、その後の物語において、大きな意味を持ち始めます。 ー 『約束のネバーランド』の真面目な考察本。 ファンガイドではなく新書で出てるので購入。 イギリス文学、宗教、ジェンダーの切り口で、まったく予想外の考察は無かったけれど、十分に必要な情報を与えてくれるので良かった。 自分たちの閉ざされた“世界”の外にも『世界』があり、この『世界』は閉ざされた“世界”の価値観を否定する。外の世界にも、その世界なりの価値観があり、宗教があり、歴史がある。『鬼』という敵と『人間』という敵を前にして、テーマは必然的に差別と憎しみと争いになり、それは究極的にはホロコーストの問題に辿り着く。最後はどこに終着するのか、というのが究極的なテーマとなる。 食用児は生まれた最初から”供物”となることが運命付けられており、彼らのその“犠牲”の上に“約束”が成り立っている。この“約束”を破る”代償”には新たな“犠牲”が必要となり、それは当然、敵側の”絶滅”に辿り着く。そうではない方法があるのか、またそうだとしたらその“代償”は何か。この辺の考え方で本作の評価が分かれるかと思われる。“甘い”と捉えるか、受け入れられるか…。また、鬼が人間の写し鏡のような存在、だとするならば、物語後の鬼側の世界が非常に心配だ…。 恐怖から守られた壁の内と外の世界、鬼と巨人、歴史、本当の敵は人間、どちらかの世界が滅びるしかないという世界観、その先の希望と絶望、という点で、『進撃の巨人』と通ずるものがある。 ”世界”を変えるためには、『世界』は犠牲を強いる。その犠牲の量的な多さと、質的な深さにおいて、両作は全く異なるが、最終的な希望と絶望においては、まったく同じものを描いているような気がする。 この“犠牲”を考える時、“歴史”と“記憶”の重要性が鍵になる。あとは、“許し”と“癒し”なのだが、この最後の“歴史”、“記憶”、“許し”、“癒し”の解決策は、『約束のネバーランド』にも『進撃の巨人』にも記されてはいない気がする…。
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