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未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀
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未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀

岡田利規(著者)

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未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白水社
発売年月日 2020/08/05
JAN 9784560097830

未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀

¥2,640

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2021/10/17

2021.10.17市立図書館 東京五輪の開会式をテレビでちらっとみたときにたまたま目に入った森山未來の鎮魂の踊りについて、その後調べてその内容に興味を持ったので予約を入れて二ヶ月あまり、ようやく順番がまわってきた。 能(狂言)の形式を借りた演劇。池澤夏樹=個人編集「日本文学全...

2021.10.17市立図書館 東京五輪の開会式をテレビでちらっとみたときにたまたま目に入った森山未來の鎮魂の踊りについて、その後調べてその内容に興味を持ったので予約を入れて二ヶ月あまり、ようやく順番がまわってきた。 能(狂言)の形式を借りた演劇。池澤夏樹=個人編集「日本文学全集」で能・狂言の現代語訳に取り組んだことからの新境地。 前口上にある著者の主張(演劇の嘘くささ、わざとらしさへの違和感、能はアレルゲンフリーの演劇である)もなるほどと感じた。 ・前口上「幽霊はアレルギー症状を引き起こさない」 ・NŌ THEATER 能「六本木」(かつて投資銀行の証券部門で勤務いていた男) 狂言「ガートルード」 能「都庁前」(フェミニズムの幽霊) ・未練の幽霊と怪物 能「挫波」(ザハ・ハディド) 能「敦賀」(核燃料サイクル政策の亡霊) ・後口上「能は世界を刷新する」 目当ての「挫波」の他の作品も興味深く読んだ。幸い能のスタイルにも多少はなじみがあるので、場面もなんとなく思い浮かぶ。「未練の幽霊と怪物」はKAATでの配役もだいたい見当がつくので、場面を思い浮かべてみたりもした。 五輪開会式での森山未來のパフォーマンスは、一般受けはしなかった。NHKの解説は震災の犠牲者への鎮魂と説明していたような記憶があるが(森山がイスラエルに縁のあることもあり、ミュンヘン五輪で犠牲になったイスラエル人を追悼したという節も)、それにしても祝祭の場にはちょっと場違いで、理解不能、つまらない、気持ち悪いと多くの人はスルーした。6月にKAATで上演された作品をみたことがあるようなごく一部の人達だけが「あれは挫波ではないか」と指摘していたが、演出家やオリンピック委員会からの公式な発表や見解はけっきょくなにもなかった。だれが森山未來を起用したのか知らないし、そのパフォーマンスをそこに入れることを決めたのはだれだかわからないけれど、分かる人にだけ分かればいいというレベルで、新しい国立競技場の竣工祭の神事をしたということなのかな、と思った。 思えばオリンピックをめぐっては国立競技場の顛末と同じように不可解な採用や辞任・解任、仕切り直しが開幕ぎりぎりまで続いていた。メディアは憶測や虚報、捏造で世論を煽る一方で、心ある人は多くを語らず、あるいは真実を胸におさめたまま黙しており、マスコミのフィルターを通さない事実はどうだったのか知る由もない。「挫波」を読んでザハ・ハディドの無念におもいをはせているちょうどそのときに、マスコミのつくりあげた世論にずっと傷つき続けてきた一人の内親王が皇室からでていき、同じ年頃の女優たちは無責任な週刊誌の報道に抗議をした。そんな狂騒の世界はそろそろ曲がり角にきているのだといいのだけど。 2020年7月付の後口上では、「さして大きく報じられることのない(しかし、公共化されることを待っているであろう)」題材として牛久の入管があげられているが、その後、スリランカからのウィシュマさんの病死をきっかけにだいぶ報道されるようにはなった。いずれ新作として見る日も遠くないかもしれない。

Posted by ブクログ

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