1,800円以上の注文で送料無料

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記
  • 新品
  • コミック
  • 里山社/トランスビュー

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記

パク・ゴヌン(著者), 神谷丹路(訳者), ヤン・ウジョ, チェ・ソナ

追加する に追加する

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記

2,860

獲得ポイント26P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 里山社/トランスビュー
発売年月日 2020/07/15
JAN 9784907497118

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記

¥2,860

商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/05/14

とっても美しくて、一人の人間として共感できる。 さらに、東アジアの歴史もしっかり分かる。南北分断の責任を突きつけられた印象。読んでよかった。

Posted by ブクログ

2020/09/15

子どもとは、よく知っていると思っていた人間や世界を、新たな目で発見しなおす鏡のような存在だ。幼い子どもの成長に日々驚かされ、励まされ、考え込まされながら、若い夫婦が書き留めた子育ての記録は、時代や場所、民族を超えて、普遍的な共感を呼ばずにいないだろう。それでも心に留めるべきひとつ...

子どもとは、よく知っていると思っていた人間や世界を、新たな目で発見しなおす鏡のような存在だ。幼い子どもの成長に日々驚かされ、励まされ、考え込まされながら、若い夫婦が書き留めた子育ての記録は、時代や場所、民族を超えて、普遍的な共感を呼ばずにいないだろう。それでも心に留めるべきひとつの大きな違いは、それが、日本軍の戦火に追われ異国の地を転々としながら書き留められたものだということだ。 梨花女子大を卒業して教師となったソナは、アメリカで成功した事業家でありながら、日本の植民地支配の打倒を目指す独立運動家となったウジョと出会い、中国の上海に渡って、韓国臨時亡命政府の金九の媒酌で結婚する。ふたりの間に娘ジェシーが生まれたのは、まさに日本軍が盧溝橋事件を起こし日中戦争を始めた1937年。そのときから、日本軍の魔手を逃れ、幼い子どもを抱えて中国各地を転々とする日々が始まったのだった。 マルジャネ・サトラピによる『ペルセポリス』を思い出させるモノクロの力強い絵に導かれながら、若いふたりの旅路をたどりつつ気づかされるのは、韓国亡命政府の人たちの視点から見た日中戦争について、これまで一度も読んだり聞いたりしたことがなかったということだ。考えてみると驚くべきことだが…。 たとえば、わたしが昔からなじんできた戦争のイメージの中では、空襲警報が鳴り響く中、上空からバラバラと爆弾を落とす恐るべき飛行機はつねにアメリカのB29であり、その下で辛酸をなめるのは日本人と決まっていた。だが、中国の行く先々でウジョとソナ、そして臨時戦政府や中国の市民たちを襲うのは、日本軍の飛行機による無差別爆撃なのである。 そのことを不思議に感じるということは、いかに深く、わたしが日本人犠牲者観からのみ戦争のイメージを刷り込まれてきたかということだろう。P.243-244に描かれているように、晴れていれば人びとは太陽を喜ぶよりも日本軍の飛行機を恐れ、雨が降れば喜んで買い物に繰り出した。異国での厳しい生活、命の危険にさらされながらも、若い夫婦は、恐るべき悲惨の中でもへこたれない中国の人々に目を見張り、爆弾が降り注ぐ中でも、たったひとつのおもちゃを握りしめてご機嫌で笑うジェシーに励まされながら、自分の気持ちを押し隠したり、欲望に衝き動かされ、争いをやめない人間の本性について、老木が若木に道を譲り倒れるように、小さな石ころが積まれていくように、刻まれていく社会と歴史に想いを馳せる。 印象的なエピソードのひとつが、ジェシーの下に妹が生まれたときのことだ。民族の運命を背負う男児が誕生することに期待をかけていた臨時政府の人々があからさまに失望し、ソナも済まながる様子を見て、ウジョはそのような人びとの反応をこそ残念に思う。当時においてこのしなやかな感性は、彼がアメリカで教育を受けていたことにもよるのかもしれないが、もしかすると、小さな命の成長を日々見守ってきたことが、独立運動を超えて、より普遍的な人間や社会に注ぐ視点をはぐくんできたのではないだろうかとも考えたくなる。 それにしても日本が始めた無謀な戦争はあまりにも長引き、あまりに多くの犠牲を出した。このささやかな一家の視点に寄り添ううちに、早く日本が戦争に負ける時が来てほしいという気持ちに駆られ、それでもわが故郷の上に炸裂した原子爆弾の絵に、胸が引き裂かれる思いがする。 そして日本の敗戦と祖国の解放が、韓国臨時政府の人々にとって、決して苦しみの終わりではなかったという事実。中華民国政府は日中戦争の期間を通して韓国臨時政府に庇護を与え続けたが、それは一方では、朝鮮半島を取り巻く戦後秩序の形成が大国中心で行われることを意味していたのだった。ようやく帰国した祖国で、臨時政府の人々はただの難民という扱いを受け、金九は後に暗殺されることになる。 読者の胸にそうした文脈を思い起こさせながらも、この本は、あくまでも最も困難な時代に、最も小さく弱い命を真ん中において見つめながら生き抜いた家族に焦点を合わせ続ける。多くの政治的暴力のあとに、わたしたちが本当に見つめなおすべき道しるべを指し示すように。 そして多大な暴力をもたらしてきたこの社会のわたしたちは、わたしたちが知らなかったこの物語、祈りと希望によって再構成されたこの物語を、わたしたち自身の姿を再発見する鏡として受け止めたい。心からの感謝とともに。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品