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AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 光文社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2020/07/16 |
JAN | 9784334044817 |
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AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争
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商品レビュー
4.5
47件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
すばらしい企画。 本書(2020)と、「この世界の片隅に」(こうの史代原作2007-2009、片渕須直監督でアニメーション映画化2016,2019)、ピーター・ジャクソン監督「彼らは生きていた(ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド)」(2018)が響き合って。 @ 【『この世界の片隅に』片渕須直監督 推薦!】 戦前から戦後の貴重な白黒写真約350枚を最新のAI技術と、当事者への取材や資料をもとに人の手で彩色。カラー化により当時の暮らしがふたたび息づく――。 ■著者からのメッセージ 本書には、「カラー化された」戦前から戦後にかけての写真が収録されています。当時の写真は、もっぱらモノクロです。カラーの写真に眼が慣れた私たちは、無機質で静止した「凍りついた」印象を、白黒の写真から受けます。このことが、戦争と私たちの距離を遠ざけ、自分ごととして考えるきっかけを奪っていないでしょうか。 私たちはいま、AI(人工知能)と人のコラボレーションによって写真をカラー化し、対話の場を生み出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいます。 戦前の広島・沖縄・国内のようす。そして開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下・終戦。自動カラー化ののち、写真提供者との対話、資料、SNSでの時代考証などを踏まえて仕上げた、約350枚のカラー化写真が収録されています。 しあわせな暮らしが、少しづつむしばまれていくようす。戦禍が日常に。そして焼け跡から生まれた希望。一葉一葉をめくり、眺めながら、過去のできごとに思いを馳せていただければ幸いです。(渡邉英徳) 高校1年生の夏。私は広島平和記念公園で、濵井德三さんと出会いました。濵井さんの生家は戦前、中島地区で「濵井理髪館」を営んでいました。中島地区は現在の平和公園にあたる場所で、原爆投下前は4,400人が暮らす繁華街でした。 濵井さんが疎開先に持参した大切なアルバムを見せてもらうと、戦前のご家族との幸せな日常を写した白黒写真約250枚が収められていました。「ご家族をいつも近くに感じてほしい」という想いから、私はカラー化の取り組みを始めました。 その後も、少しずつ中島地区の元住民との繋がりが広がり、資料や対話を通してよみがえったさまざまな「記憶の色」を再現しています。 写真集の出版にあたり、私自身は子どもたちの目線から写真を選びました。戦争は、戦地で戦う人たちだけではなく、子どもたちを含む一般市民も巻き込まれてしまうものなのだと伝えたかったからです。家族と最後のお別れもできないまま、永遠に一人ぼっちになってしまった、中島地区の濵井さんたちの想いとともに……。 本書を通して、戦争や平和について、自分ごととして想像してほしい。そして、それぞれが感じた想いをまた、大切な友達や家族に伝えてほしいなと思います。これが、今の私にできる戦争体験者の「想い・記憶」のあたらしい伝え方です。(庭田杏珠)
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第92回ビブリオバトルinいこま「三冊屋」で紹介された本です。 2022.6.26 ①『古代ポンペイの日常生活「落書き」でよみがえるローマ人』木村凌二 ②『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠、渡邉英徳 ③『ベリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く』エ...
第92回ビブリオバトルinいこま「三冊屋」で紹介された本です。 2022.6.26 ①『古代ポンペイの日常生活「落書き」でよみがえるローマ人』木村凌二 ②『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠、渡邉英徳 ③『ベリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く』エリオット・ヒギンズ
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間もなく戦後80年になろうとしている。太平洋戦争前の日本といえば軍国主義が街中に色濃く溢れ、軍艦や戦闘機をはじめとする武器の開発製造に国のあらゆる先端技術が注がれていた。その様な中で、人々の生活全ては戦争に大きく左右され、貧しさに耐えながら、そして、家族を兵士にとられた家ではその...
間もなく戦後80年になろうとしている。太平洋戦争前の日本といえば軍国主義が街中に色濃く溢れ、軍艦や戦闘機をはじめとする武器の開発製造に国のあらゆる先端技術が注がれていた。その様な中で、人々の生活全ては戦争に大きく左右され、貧しさに耐えながら、そして、家族を兵士にとられた家ではその無事を祈りながら日々生活を送っていた。写真技術は19世紀には早くも登場していたものの、一般的な家庭へのカメラの普及はまだまだの時代であり、裕福な家庭や報道を職業にする一部の人間しかカメラなどは持てない時代であった。その様な中でも当時撮影された白黒の写真が現在まで各家庭に大切に保管され、特に戦争中の従軍カメラマンの撮影した白黒写真を学習教材などで目にした事もあるだろう。そう、当時の写真はカラーではなく白黒だ。 現在ではカラーは当たり前、私もこれまで何台もカメラを所有してきたが、オートフォーカスや明るさの自動補正、シャッタースピードも自動で調整するなど、大半の操作はデジタルとなった。所謂デジカメは出た当時に100万画素も無かったものが、今ならスマホでも1000万画素は軽く超え、私も昔使っていたような一眼なら4000万〜5000万画素も安く手に入るまでに至った。 更に驚きなのはここ数年で流行し始めた、写っている画像自体の補正技術だ。余計なものが写り込んでいれば人であろうと消してしまい、抜けた部分を周りの風景に同化させるようにして、如何にも元々何も写り込んで無かったかの様に見せるところまで来た。複数枚撮った写真から1番笑顔の写真を拾ってきて、全員が最高の笑顔で写ったように補正してしまう。こうなるともう構図もシャッターチャンスも関係なくなってくる。最早これを写真と言って良いのかも謎だ。 本書は太平洋戦争前後に撮られた多くの白黒写真をAIを駆使してカラー化し現代に色のある世界として甦らせたものだ。とは言っても、完全にコンピュータ処理だけで出来たものではなく、撮影者や被写体、その関係者などとの会話によって、実際の色がどの様なものであったかを記憶を辿り人が更に補正していくといった難しいプロセスを経て完成されたものである。写真は人の記憶を呼び起こさせるものではあるが、前述した様に前後80年近く経過し、その被写体も記憶も失われつつある中甦らせた貴重な資料である。写真が無ければ全く記憶から消えてしまいそうな風景や人も、カラー化された絵から、再び人々の記憶として甦り、喜びや感動を呼び覚ます。 そしてそれが新たな世代に、先人たちの日本の歩んできた道を理解するきっかけの一つになる。軍国主義とは言え、人々の生活の中には、結婚や出産、賑やかな祭りや学校へ通う少年少女達がおり、おしゃれを楽しみ、恋人と過ごす時間があった事は、今と何ら変わらない。またその逆に今は我々日本人からは遠のいた戦争も、いついかなるきっかけで、再び戦禍が訪れるか解らない。誰もが平和を願っていても、日本の周辺にはミサイルを撃ったり、他の国を威圧して脅す様な国もある。日本が防衛費を上げれば上げるほど周辺諸国から見れば脅威になるだろうし、逆に不十分ならそれはそれで危険を招く。 写真に見られる日本の姿から、戦争を経て現在の平和と発展を作り上げるまでには大きな時間がかかった事を実感する。80年と言えばほぼ人の一生と同じ長さだ。戦争が起こればこの平和も一瞬で無くなってしまう。自分が生きているかさえ解らない。私がこれまで撮影してきた写真も一瞬で失われ、記憶を享受できる家族や仲間さえも居なくなってしまうかもしれない。 本書を見る事は歴史に学ぶ事と同じく、二度と戦争を起こさない誓いに繋がるだけでなく、平和と戦禍は紙一重である事を改めて思い起こさせてくれる。戦時中の話をよくしてくれる父もかなり歳をとったが、写真はその瞬間瞬間を記録し、永遠に私達の教えになってくれる。更に現代社会の技術で鮮やかに甦った本書の様な取り組みを今後も続けて欲しい。
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