商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中日新聞東京本社 |
発売年月日 | 2020/06/01 |
JAN | 9784808310479 |
- 書籍
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受け師の道
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4.1
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「勝つことは偉いことだ」という言葉がある。あと一勝すればタイトル獲得という対局に臨むこと八回、いずれも退けられてきた男にとって、またその男を応援し、支え続けてきた人々にとって最後の一勝はどんなにか重いものだったろうか。 46歳(最年長初タイトル)、7回目のタイトル挑戦(無冠のま...
「勝つことは偉いことだ」という言葉がある。あと一勝すればタイトル獲得という対局に臨むこと八回、いずれも退けられてきた男にとって、またその男を応援し、支え続けてきた人々にとって最後の一勝はどんなにか重いものだったろうか。 46歳(最年長初タイトル)、7回目のタイトル挑戦(無冠のままでの最多挑戦)で時の名人 豊島から初のタイトルとなる王位を奪取した木村一基は、奪取当時から「中年の星」などと言われて話題であったが、今にし思えば群雄割拠の四強時代から藤井一色に染まるまでの僅かな期間にチャンスをものにしていて、不撓の男に将棋の神様が微笑んだとしか言いようがないタイトル獲得であった。 本人や関係者へのインタビューをもとに本人の人柄や番勝負の緊迫感をよく再現して、東京新聞に連載した記事の単行本化。爆笑の王位獲得記念トークショーの書き起こし、王位戦七番勝負の棋譜も併録。
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"負けと知りつつ、目を覆うような手を指して頑張ることは結構辛く、抵抗がある。でも、その気持ちをなくしてしまったら、きっと坂道を転げ落ちるかのように、転落していくんだろう。(『将棋世界』○七年五月号より)(p.56)" 将棋界には、多くのファンから愛される棋...
"負けと知りつつ、目を覆うような手を指して頑張ることは結構辛く、抵抗がある。でも、その気持ちをなくしてしまったら、きっと坂道を転げ落ちるかのように、転落していくんだろう。(『将棋世界』○七年五月号より)(p.56)" 将棋界には、多くのファンから愛される棋士たちがいる。「千駄ヶ谷の受け師」「将棋の強いおじさん」の異名・愛称をもつ木村一基九段もその一人。本書は、彼が2019年に最年長・最遅・最多挑戦で初タイトルを取るまでの軌跡を、丁寧な取材を通して明らかにする。 木村九段は、プロ入りこそ23歳と遅めだったが、プロ1年目には「将棋大賞」の新人賞に選ばれ、2年目には全棋士中の最高勝率を挙げるなど、当初から有望の新人として期待された。戦績も申し分なく、間違いなくトップ棋士の一人だと言えよう。しかし、そんな彼でもタイトル獲得には手が届かなかった。挑戦者には何度もなりながら、タイトル保持者の高い壁に跳ね返され続けた。プロ棋士のピークと言われる20代、30代を過ぎて、木村九段の成績は次第に下向き、タイトル戦からも遠ざかるように。その間、棋界は激動の時期を迎えていた。将棋ソフト(AI)がプロ棋士の実力を追い抜き、ご存じ藤井聡太五冠が29連勝の鮮烈なデビューを飾った。そして、木村九段はソフトを活用し、研究時間も増やしたことで再び成績を上げ、タイトル戦の舞台に返り咲いていた。2019年の王位戦、彼が挑戦する相手は、17歳年下の豊島九段。他の棋士から「序盤・中盤・終盤隙が無い」と評されるほどの実力者で、当時は名人と王位の二冠を保持していた。勝負は七番勝負のフルセットにまでもつれこんだが、最終局で木村九段が"生涯の代表局(塚田九段)"と言われる会心の指し回しを見せて豊島九段を下し、悲願の初タイトル獲得と相成った。 木村九段がファンから人気があるのは、しゃべりが上手く解説を聞いていて楽しいというのも一つあると思うが、何より彼の人柄があってこそのものだろう。あと一歩にまで迫りつつタイトルを逃すという苦渋を何度も味わいながら、諦めずに愚直に努力し続けた。その姿に惹かれ、「木村九段にはタイトルを取ってほしい」と応援したくなるのだ。 将棋の専門用語や符号はほとんど登場しないので、将棋を詳しく知らない人でも十分読んで楽しめる一冊になっている。 受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基 序 タイトルを取った日 第1部 修行の日々 第2部 タイトルの壁 第3部 不屈の魂 第4部 激闘、王位戦七番勝負 第5部 王位・木村一基 王位獲得記念トークショー 第1部 王位戦を振り返って 第2部 素顔に迫る 第六十期 王位戦七番勝負 棋譜
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木村一基はプロ棋士、九段。1973年6月生まれなので、現在48歳である。 2019年に王位という将棋のタイトルを獲得し、注目された。木村九段にとって、これが初のタイトル獲得。その時に46歳になっており、初タイトル獲得の最年長記録、それも、それまでの37歳を大きく上回っていたため、...
木村一基はプロ棋士、九段。1973年6月生まれなので、現在48歳である。 2019年に王位という将棋のタイトルを獲得し、注目された。木村九段にとって、これが初のタイトル獲得。その時に46歳になっており、初タイトル獲得の最年長記録、それも、それまでの37歳を大きく上回っていたため、注目を集めたのである。 藤井聡太3冠の例を見るまでもなく、強い棋士は、たいてい早くから頭角を表す。これまで中学生で棋士になったのは、加藤一・谷川・羽生・渡辺・藤井と5人だけであるが、いずれもタイトルを獲得するトップ棋士になっている。それに比べると、木村が棋士になったのは23歳の時と、かなり遅く、また、上記の通り、46歳になって初めてタイトルを獲得するという、超遅咲きの棋士である。その間の努力はいかばかりかという面、さらには、46歳になっても努力を続けていればタイトルを獲得出来るのだという事実が、中高年に勇気を与え、「中年の星」とも呼ばれた。 王位戦は地方新聞数社が共同で主催する棋戦である。そのタイトルを木村が獲得したことは、多くの人たちの関心を集め、主催者の中日新聞・東京新聞が「百折不撓の心 王位・木村一基」という題名で木村をテーマに新聞連載を行った。本書は、その連載、更に、木村が参加したトークショーの様子や、王位戦の棋譜を加え、1冊の本にまとめられたものである。 木村はファンの多い棋士であるが、本書を読めば、それが何故かが分かる。誠実な努力家であり、かつ、話がうまい。将棋に詳しくない人が読んでも面白い本だと思う。
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