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アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論
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アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論

町田樹(著者)

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アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白水社
発売年月日 2020/06/17
JAN 9784560097656

アーティスティックスポーツ研究序説

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2021/02/07

ソチオリンピック5位入賞などの実績を持つフィギュアスケート選手でもあった著者が現役を引退して選んだのは、フィギュアスケートを”学問”として極める道であった。その研究生活の第一歩として、その学問的成果をまとめあげたのが本書なのだが、これは極めて完成度が高くエキサイティングな学術成果...

ソチオリンピック5位入賞などの実績を持つフィギュアスケート選手でもあった著者が現役を引退して選んだのは、フィギュアスケートを”学問”として極める道であった。その研究生活の第一歩として、その学問的成果をまとめあげたのが本書なのだが、これは極めて完成度が高くエキサイティングな学術成果であり、この一冊を持って著者の研究者としての素質が十分であることが示されている。 正直、私個人は特段フィギュアスケートに対して深い思い入れがあるわけではない。本書を手に取ったのは、セカンドキャリアの問題が深刻なプロスポーツ選手がアカデミアの世界に飛び込んだときに、どのような成果がそこで出されるのかに関心を抱いたからである。そして本書を読んでこの完成度の高さに驚かされつつ、夢中で読了してしまった。 本書のテーマは、スポーツとアートの合間で曖昧に揺れるフィギュアスケートやシンクロナイズドスイミング、新体操など”身体的な技術”と”芸術性”が両立するスポーツを”アーティスティックスポーツ”と定義した上で、その社会的意義を極めて広範な学問領域を横断しながら明らかにするものである。具体的に、本書は6つの章で構成されているが、”アートとスポーツの定義を巡る芸術学・美学等の議論”、”フィギュアスケートと著作権の関係”、”テクスト批評理論に基づくフィギュアスケート読解”、”フィギュアスケートを巡る産業構造上の課題”など、そのそれぞれが独立した学問領域に基づいている。 個人的に感動したのは第Ⅲ部「鑑賞されるアーティスティックスポーツ」である。ここでは文学におけるテクスト批評のディシプリンを用いて(もちろん、ジュリア・クリステヴァの提唱する”間テクスト性”などが含まれてくる)、名演とされるフィギュアスケートの演技を批評しようとするものである。驚くべきは、4分程度のショートプログラムを160にも及び動作に分解した上で、その個々の動作の意味合いや、この演技が参考したと思われるバレエ作品との関連性などを見事に分析してみせる。これは文学批評において、センテンスレベルでの批評を行うのと等しい営みであるといえる。ここまで鋭利な分析眼によって、あるフィギュアスケートの演技の意図や芸術性が明らかになっていくというプロセスには興奮を禁じえなかった。 作者のフィギュアスケートに対する途轍もない熱情と、それを論理の力で何とかして伝えたいとする学問的な努力が見事に融合した学問的成果であり、本書はその点であるテーマを研究するという学問的営為のお手本とも呼べる論考に仕上がっている、とすら感じた。

Posted by ブクログ

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