商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 二見書房 |
発売年月日 | 2020/05/26 |
JAN | 9784576200804 |
- 書籍
- 文庫
好色な愛人
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好色な愛人
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商品レビュー
5
1件のお客様レビュー
イマドキ夫婦の1つのあり方がじんわり忍ばされている
作者にとって12年振りとなる書き下ろし長編。これだけでも驚きと敬意を以て迎えたい。 二見書房(マドンナメイト文庫・二見文庫)の小説に英語のタイトルがあることは知る人ぞ知るところだが、本作では「好色な愛人」のタイトルに対して『Everybody Knows This Is N...
作者にとって12年振りとなる書き下ろし長編。これだけでも驚きと敬意を以て迎えたい。 二見書房(マドンナメイト文庫・二見文庫)の小説に英語のタイトルがあることは知る人ぞ知るところだが、本作では「好色な愛人」のタイトルに対して『Everybody Knows This Is Nowhere』である。直訳すると「これがどこにもないことを誰もが知っている」となる。何を誰もが知っているのだろうか。何がどこにもないのだろうか。 直訳冒頭の「これ」が何なのか分かれば解読できるのだが、それはおそらく《純真で一途な愛情》ではなかろうか。まだピュアだった青春時代にはあったものが年齢を重ねるに連れて失ってしまう。故に失ったものを補うように求めてしまう。伴侶では得られなくなったものを別に求めてしまう。要するに浮気や不倫といった邪な愛情ということであろう。そんな大人の濁った恋愛模様を否定も肯定もせず淡々と描いているのが本作である。 妻子ある主人公がヒロインと深い仲(浮気もしくは不倫の関係)になるのだが、それは何も主人公だけではないという背景が盛り込まれており、本作で描かれる絶妙なリアリティによって「不倫はこうも市民権を得たのだろうか?」といった疑問も沸いてしまう。心を通わす夫婦関係は維持しつつ体を交わす相手が別にいる現実。そんな考え方は以前からあるのかもしれないが、より普遍的になっているような、それはそれでアリと考える男女が増えているような、そんな心持ちに至る。 フランス書院文庫で全盛を誇った頃とは趣を異にする作風だが、仮面夫婦とはまた違う現代夫婦のあり方、その一端を垣間見たかの余韻を残すところに御大の健在振りを感じてやまない。
DSK