商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 徳間書店 |
発売年月日 | 2020/03/09 |
JAN | 9784198650704 |
- 書籍
- 児童書
ぼくたちがギュンターを殺そうとした日
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ぼくたちがギュンターを殺そうとした日
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商品レビュー
3.9
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第二次世界大戦終期から直後にかけて、ドイツ東部から農村へ疎開(というより難民)してきた人々の、ローティーンの子どもたちのお話。難民の子たちは仲間になってつるむようになるけれど、その中に吃音と知恵遅れがあるとされる男の子・ギュンターがいて、彼を疎んじた仲間たちは彼をいじめてしまいます。かなりひどいことをしてしまい、その発覚を恐れた仲間内のリーダー・レオンハルトが、ギュンターを殺す計画を立てます。 主人公のフレディは葛藤します。もちろんギュンターを殺すなんてとんでもない、良くないことだと分かっています。その上ギュンターは、フレディと一緒にいるときはどもりもなく、元は広い牧場に住んでいたということもあり、馬についての豊富な知識を披露してくれます。けれども、リーダー格のレオンハルトに逆らって計画に参加しなければ、仲間からはじき出され、村や学校での居場所を失います。いえ、計画に参加すれば、虐待する負傷兵の父の元へ送り返されるか、施設送りにされるかのどちらかなのですが……それはギュンターが口を割ってしまった場合も同じです。ギュンターが「ぼくをいじめたのはあいつらだ」とばらしてしまえば、子どもたちは酷い折檻をされる。あるいは問答無用で施設に入れられる。そういう時代です。 いじめの問題はいつの時代にもありますが、本書の特筆すべき点は、それが戦時下であったこと。つまり、大人たちが戦争を行い、人の命を公然と奪う中で――しかもドイツの話です。障碍者を集めて命を奪うという行為を行っていた状況で、大人たちはそういう情報を子どもたちには隠そうとしていましたが、特に年長の子、レオンハルトなどは知っていました。大人の行動をなぞるようにして、弱者を貶めようとしていたのです。そして、そのような子どもたちの行動に、周りの大人たちは真剣に向き合おうとはせず、臭い物に蓋をするように、「お前がその場にいたなら殴りつけてやる」「施設送りだ」「自分で始末をつけろ」というような言葉で子どもたちを追いつめていくのです。 この物語は、作者の子ども時代の経験に基づいて書かれた話とのこと。本書は児童書ですが、大人こそ読む価値のあるものです。子どもたちの前で大人がどんな姿であるべきか、考えさせられます。
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いじめや人種差別、人権教育に力を入れない日本社会にこそ必要な一冊。 子どもの犯した罪に対して大人はどう対処するのか?一つの答えがこの一冊におさめられている。
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150ページのコンパクトな本だけど、全編が濃縮された宿題みたいな重さで、正直いうと、ところどころ目をすべらせて読んでしまった。 少年たちがギュンターをいじめたらしいということは近隣の大人たちも勘づいていて、「おまえもそこにいたなら施設送りにしてやる」とか「おまえを殴り殺してやる...
150ページのコンパクトな本だけど、全編が濃縮された宿題みたいな重さで、正直いうと、ところどころ目をすべらせて読んでしまった。 少年たちがギュンターをいじめたらしいということは近隣の大人たちも勘づいていて、「おまえもそこにいたなら施設送りにしてやる」とか「おまえを殴り殺してやる」などと息子たちを叱責する。それがまた少年たちを追いつめて、「ギュンターがしゃべらないよう、消すしかない」というゆがんだ発想へかりたてる。 自分の存在が脅かされると思いこんで、無垢な誰かを抹殺しようとする。その構図はまさしく戦争と同じ。「なぜ大人ならよくて子どもはいけないんだ」と少年たちは問うけど、本当はどちらも罪深いことだ。でも大人たちは、子どもの罪はとがめるのに、自分たちが戦争で何をしたか(させられたか)は、けっして語ろうとしない。 おかしいとわかっているのにおかしいといえない状況や、その集団から抜けられない状況が支配する世の中にはなってほしくない。 そういう意味で、子どもよりもむしろ大人が読むべき本なのかも。
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