タバコ天国 素晴らしき不健康ライフ

矢崎泰久(著者)

• 販売会社／発売会社: 径書房
• 発売年月日: 2020/02/10
• JAN: 9784770502315

商品レビュー

2020/05/06

あなたは喫煙家ですか？
僕は19807年代の後半から2000年頃まで、15年間くらい喫煙者でした。一日に二箱くらい。色々と試すのが好きだったので、当時の専売公社が売っていた日本製の紙巻きタバコはほとんど味わったと思います。
著者の矢﨑泰久は父が作家の菊池寛氏の元で秘書のような事もしていたこともあり、ご自身も「話の特集」という雑誌を創刊したりした経験があるため、作家や芸能人との交友が幅広い。
愛煙家として、そのタバコの煙が繋がりとなった作家、イラストレーター、歌手、俳優、スポーツ選手、芸術家や、編集者、カメラマンなどとの交友録を披露している。
既に喫煙歴70年以上なので、交友録も圧倒的に昭和の、それも高度成長期に活躍した人々が多いが、1965年生まれの自分にはそれはまた懐かしい。
一方で、矢﨑氏は愛煙家として今の禁煙だらけの世の中に対する反発の気持ちも強い。そもそも、今も事実上専売制で、たばこ税はどんどん上がっている。健康に害があると言っているが、それを承知で国が売っておき、税金もとっておきながら、禁煙を広めるだけで、気持ち良く喫煙できる環境を作らないのはおかしいと主張しているが、これは一理あると思う。
確かに喫煙者は減ったが、テレビドラマでタバコを吸う人が一人も出てこないのはちょっとおかしいと、自分も思う。
後半になるほど、特に東京都の小池都知事の喫煙者に対する施策への不満が強くなり、話が横道にそれる事が増えるのだが、それでも、タバコの交友録は令和でも平成でもない、昭和の香り、紫煙の香りを色濃く感じる、そんな気がする。