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自由の命運(上) 国家、社会、そして狭い回廊
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自由の命運(上) 国家、社会、そして狭い回廊

ダロン・アセモグル(著者), ジェイムズ・A.ロビンソン(著者), 櫻井祐子(訳者)

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自由の命運(上) 国家、社会、そして狭い回廊

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内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2020/01/23
JAN 9784152099105

自由の命運(上)

¥3,300

商品レビュー

4

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2023/05/27

同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主...

同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主義計画経済、農奴制、無政府状態といった様々なパターンがあり、強権的政治による収奪的経済制度と一括りに説明するには無理があるということである。そこで本著では「国会」と「社会」の力関係の組み合わせという枠組みを提示している。この枠組みにより「衰退する」国家の様相を精緻に説明するととも、「繁栄する」リベラル・デモクラシー+自由主義経済の国家も安泰ではなく、「国家」と「社会」の力関係が変われば、「衰退」する側になりうることを古今東西の豊富な事例を挙げて説明している。

Posted by ブクログ

2021/05/12

米経済学者2人が、自由について世界的かつ歴史的見地から述べたもの。ホッブズのリヴァイアサンになぞらえて、社会と国家による強制の度合いとにより「専横」「足枷」「不在」の3つに分類し、世界中の様々な地域の状況に当てはめて、意見を述べている。結局、国家として強制しすぎず、緩め過ぎずのバ...

米経済学者2人が、自由について世界的かつ歴史的見地から述べたもの。ホッブズのリヴァイアサンになぞらえて、社会と国家による強制の度合いとにより「専横」「足枷」「不在」の3つに分類し、世界中の様々な地域の状況に当てはめて、意見を述べている。結局、国家として強制しすぎず、緩め過ぎずのバランスが大事で、その幅が「Narrow Corridor」になっているとの主張である。哲学者の見解と実際の状況との比較・分析が面白い。上巻では、中東、アフリカ、ヨーロッパ、中国が題材となっている。 「自由は容易にはもたらされない。多くの人々が、機能不全国家に苦しみ、規範と伝統の檻にとらわれている」p12 「(アラブの春)贈り物をもらったと思っていたら、この世のあらゆる悪が飛び出した」p22 「法のないところに自由はない(Jロック)」p24 「本書の主張は、自由が生まれ栄えるためには、国家と社会がともに強くなければならない、というものだ。暴力を抑制し、法を執行し、また人々が自由に選んだ道を追求できるような生活に不可欠な公共サービスを提供するには、強い国家が必要だ。強い国家を制御し、それに足枷をはめるには、結集した強い社会が必要だ」p28 「(国家なき社会)過去200年間に調査した27の国家なき社会の暴力による死亡率は、人口10万人当たり500人超。これは現在の合衆国の殺人率人口10万人当たり5人の 100倍以上」p43 「二人の人間が同じものを欲っしながら、それを双方で共有できない場合、彼らは敵同士になる。そして、互いに破壊または征服しようと努める」p44 「ホッブズによれば、力は、または少なくとも十分に圧倒的な力は、どのようにして獲得されようとも正義なのである」p47 「群れから離れたニワトリはタカにつかまる」p60 「(レバノンの弱い国家)レバノンの権力は国家ではなく、個々の共同体に所在する」p119 「(ニーチェ「力への意思」)他者に対する支配や権威を、規範に逆らってでも高めたいという集団の欲求」p148 「中央集権的権威のない社会は、規制・抑制する複雑な規範を通して組織される。いったん国家形成のプロセスが始まると、国家建設者はこうした規範を破壊したい、 または少なくとも自分の目的に合わせて作り変えたいと思い始める。より大きな力を目指す上で邪魔になるからだ」p149 「人間はいかなる社会的組織においても、その成員たちの争いを阻止するために、抑制力を行使し、調停者としての役割を果たす者を必要とする。この人物は必然的に連帯集団内で、ほかの者たちを支配するような者でなくてはならない。そうでなければ抑制力を行使することができない」p186 「徴税は、王朝の初期には低率の課税であっても収入が大きい。王朝の末期には、高率の課税であっても、収入は少ない」p188 「初期の経済発展は長続きしない」p191 「持続的な経済成長には、安全な財産権、通商、投資があればよいというものではない。さらに重要なことに、イノベーションと生産性の継続的な向上も欠かせない」 p196 「繁栄や経済成長を起こすインセンティブを持つ人々が、国家なきところには存在しない。なぜなら争いに裁定を下すための法律がなく、紛争中は財産権が保護されず、また国家なき空白を埋めるようにして現れる規範が、経済的インセンティブを歪め、経済活動を阻害するからだ。その結果、投資の果実は奪われ、浪費され、散逸しがちである」p240 「公共サービスがなぜ重要かといえば、よりよい道路や運河、学校、規制を提供すれば市民の生活が改善されるというだけではなく、公共サービスが幅広い機会を下支えするからでもあるのだ」p241

Posted by ブクログ

2021/02/22

面白いっ!つーか博学すぎ。メキシコ、中国、ヨーロッパ、ハワイ、アフリカ。。権力をふるう=ふるわれる人がいる。究極の暴力装置「国家」と、そこから逃れる「人々」の自由。権力の存在する制限付き自由=秩序。中国は専横的支配と儒教的支配の2系統。現代中国の監視社会の中の自由も触れられている...

面白いっ!つーか博学すぎ。メキシコ、中国、ヨーロッパ、ハワイ、アフリカ。。権力をふるう=ふるわれる人がいる。究極の暴力装置「国家」と、そこから逃れる「人々」の自由。権力の存在する制限付き自由=秩序。中国は専横的支配と儒教的支配の2系統。現代中国の監視社会の中の自由も触れられている。リヴァイアサンは足枷が必要か。など。

Posted by ブクログ

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