商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新宿書房 |
発売年月日 | 2019/10/30 |
JAN | 9784880084787 |
- 書籍
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牛鬼の滝
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牛鬼の滝
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【感想】においと音と闇と光。自然のなかで感覚は膨らむ。野生に近く、野性を残しつつ、ニンゲンとして生きる人びと。みんな貧しく、金は欲しいがあくせくはしてない。この辺が人と自然の共存の落としどころかもしれないです。「持続可能な開発」なんて正気と思えないようなことを言ってるよりは。 【...
【感想】においと音と闇と光。自然のなかで感覚は膨らむ。野生に近く、野性を残しつつ、ニンゲンとして生きる人びと。みんな貧しく、金は欲しいがあくせくはしてない。この辺が人と自然の共存の落としどころかもしれないです。「持続可能な開発」なんて正気と思えないようなことを言ってるよりは。 【内容】戦後からさほど経ていない頃、これから高度経済成長が始まるかもしれないがその少し前の熊野の山で暮らす人びとの短編集。 【一行目】砂平宗助の後ろ姿を見ながらずっとついて歩いた。(表題作) 【安堵山/あんどさん】果無山脈の最高峰。昔の誰やらが逃亡するときここまで来たら大丈夫やろうと安堵したとかいう山やったと思う。 【猪(作品名)】 【ヴァイキング】著者は有名な同人誌「VIKING」の同人だとか。ぼくの先生だった方も同じく同人やったんで知り合いの可能性もあるのかも? 【牛鬼】胴体が牛で頭が鬼の妖怪。特になにもしないが悪いことをしたら祟る。流れに小便するとか。 【牛鬼の滝(作品名)】佐平次は腕のいい宗助に黒木伐採の手解きを受ける。近くには川に平気で汚水を流したり毒を使った漁をしたりする峰吉がおり、亭主が兵役で取られたその娘安代が戻ってきていた。 【空洞木/うとぼく】短い丸太の内側をくりぬき山蜜と言われる蜜蜂を飼っている。 【うら】自分のことを呼ぶ一人称。基本的には男言葉のようだが。女性は「うち」と言うようだ。 【狼のおぼる夜に(作品名)】ときおり狼の吼える声が聞こえる山で炭焼きなどあれこれ仕事をしながら開拓農家となった敦志にはかつて気になっていたが離ればなれになった美津代という娘がいた。 【おぼる】吼えるとか叫ぶとか大声をだすとかの意味らしい。 【開拓農家】戦争が終わって復員等で増えた人口の問題を解決するため不毛地を余った人手で開拓させようという政府が思いついた夢のある施策。よくて自給自足、ほとんど無理という場所も多く離脱した者も大量。 【雉撃ち(作品名)】戦死したと思われた夫が戻ってきたが妻はすでに再婚しており子どもをめぐりゴタゴタしている仲裁に入ったのは近隣でも頼られている徳太郎で彼は芝刈場での雉撃ちが好きだった。 【奇蹟】《いまの時代の彼らにふさわしいような、別の奇蹟があるのかも知れない。》p.290 【ゴキトー】ブッポウソウの鳴き声。《ゴキトーの聞こえんような所へ行きたい。》p.116 【芝刈場】野焼きして肥料づくりに使ったり牛が食べる草を生やしたりする空き地。雉もたくさん住んでいる。 【自然】《わたしたちの時代にあったような自然と人間の、肌を接するような濃密な関係はめはや存在しないのである。》p.290 【柴巻き】椿の葉っぱで刻み煙草を巻いて吸う稼人(かせぎど)女性用の煙草。不思議な味わいがする。煙管は玄人筋の女のもの。 【松煙小屋】松を燃やした煤を墨の原料とする。田辺の問屋を通して奈良に送る。 【炭焼き】炭焼きが盛んな地だった。主に備長炭。親方は大勢の焼き子を抱えているが焼き子は儲からない仕組みになっているようだ。山を買い自分が親方になるしかないがその資金は貯まらない。 【殺生】狩りのこと。罠でも鉄砲でも。 【高尾隧道】削りあとの残る長いトンネル。常に水が滴り落ちているので濡れたくなかったら傘が必要。天井が低いので頭を屈めねばならない。 【狸】狸はピンチのときには慌てず騒がず、来るかもしれない小さなチャンスを待つタイプらしい。 【狸の穴(作品名)】山祭りの日にタブー的な殺生、狸猟をしようとした丈治は。 【果無山脈/はてなしさんみゃく】聞くだけで惹かれわくわくするネーミングだ。この辺のいずれかの山に登ったことがあるけど登り始めるまでのアプローチがひたすら長く数日かかったような記憶が残ってる。 【備長炭】堅い高級な炭。白炭の一種で原木はバベと樫。それ以外の木でつくった白炭は備長炭を名乗ることはできない。この辺の産物。《しかし備長炭はむかしながらの構造の窯でしかつくることができない。》p.261 【山路郷】《だが、親方の小言や折檻にも耐えた。休みもなく働きつめる暮らしにも馴れることができた。山路郷に生まれた人間の定めと心に刻んでいたからである。》p.26 【山の神】《山の神はあらゆる生きものの生と死に関わっている。》p.21。女性ですこぶる醜いらしい。
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