商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2019/10/09 |
JAN | 9784167913687 |
- 書籍
- 文庫
わずか一しずくの血
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わずか一しずくの血
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商品レビュー
4
4件のお客様レビュー
連続猟奇殺人 日本各地で次々見つかる人間の部位 一部は犯人からの自白 いろんな人の視点が入れ代わりで展開される物語で いろんなことが起こるのだけどなかなか犯人に 行きつかずもどかしくも感じましたが 読み終えてほっとしました
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
注!思いっきりネタバレしてますw 『敗北への凱旋』の内容に辟易して、連城三紀彦ファンはやめた…… つもりだったんだけど、本屋で見たら、無性に読んでみたくなって。またファンになることにした。 読者なんて、いい加減なもんだ(爆) 約10ヵ月ぶりの連城三紀彦は、読み始め、なんだか読みにくい。 “一年以上前に失踪した妻から電話がかかってきて、「自分がテレビに出ているから」と言うので見ると。 白骨化した左足が発見された”とか。“やがて全国各地で女性の体の一部が見つかり”なんて、裏表紙の内容紹介に、やたら「そそる」ことが書いてあるのになぁーw ま、それは著者独特の、わかったよーな、わかんないよーな(ぶっちゃけ、わかんないw)お飾り表現があるからなのか? それとも、(確かに連城三紀彦といえば、とろーっとしたエロだけどw)それにしたって、エロがくどい!と思ってしまったからか? いや。そんなこと言って、実はどっちも好きだったりするんだけどね(笑) でも、それにしたって、たんに雨が降ってきたのを、“空から弾丸を撃ち込まれた”なんて書かれても、面倒くさい以外なにものでもないじゃないか!w エロの方にしても、ごくごく普通の父親が電話に出ている娘を見て、“ダッチワイフを連想した”とか。 旅館の仲居さんが風呂上りの女性の目を見て、“恥部を連想した”とか。 もはや、「そんなヤツいねーよ」と言うしかないw とはいうものの。 “廊下は半分灯が落ちていた。女の顔は闇の溜まった辺りに埋もれていたので…”なんかは、その光景がパッと浮かんできて、ゾクゾクしてくるし。 それを見た仲居さんがその後、されてしまうエロエロな出来事やその描写はドキドキ楽しかったw つまり、連城三紀彦って。空から弾丸を撃ち込んだり、娘を見てダッチワイフを連想しなきゃ、もっと面白いんじゃないかい?(爆) ま、それはともかく、この『わずか一しずくの血』は面白かった。 要は(以下、数行は思いっきり内容に触れてます)、日本のあちこちで女性の体の一部が発見される → 失踪者もいっぱい! → 犯人が女性を誘うシーン → お!これは連続猟奇殺人かぁ~。エロなシーンもあるし。ワクワク! という、ミステリー小説ファン垂涎モノのお話wだと思っていたら……、というお話なのだ。 そこがいいんだよなぁー。 なんだか、著者のニヤっと笑っている顔が見えるようで。 連城三紀彦という人は、たぶん「読者が読みたい展開なんか、死んでも書くかよ!」みたいに思っていたような気がしてしょうがないのだが、これは、本当にそんな感じw ていうか、これって、著者らしいひねくれ感はあるものの。物語としての面白さは、素直にストレートだった気がする。 『暗色コメディ』みたいに、よくわからないんだけど…、読み終わってみたら、なんか面白かった、かも…、みたいな面白さ(?w)ではなく、わかりやすく面白いところがいいんだと思う。 ま、確かに。ここで出てくる犯人(犯人と言うのか?)みたいなことする人っているのかなぁーと思うところはある。 ただ、(くどいようだがw)娘を見てダッチワイフを連想する父親や、風呂上がりの客の目を見て恥部を連想する仲居さんよりは、まだリアルなんじゃないかと(爆) ただ、2020年という現在からすると、いかんせん物語の雰囲気が70年代、60年代なので。 いや、話の中で出てくるモノやコトからすると、物語の時代設定は90年代の前半、いっても94年くらいなんだろうなーとわかるのはわかる(95年5月~96年8月の連載らしい)。 90年代前半といったら、ほとんどの家がプルルルーっと鳴る電話になっていたと思うのだが、この話の冒頭で鳴る電話は、ジリリーンの黒電話の絵しか出てこない。それくらい、物語の雰囲気がひと昔前なこともあって、 現在の空気感で描かれた小説が当たり前の人が読むと、「なぁ~んか、昭和ぁ~な話」で終わっちゃうのかなぁ~という気はする。 というか、現在現役バリバリの作家だったら、たぶん刑事の広川辺りのパートを軸に、犯人(?)は独白パート、仲居さんパート、辻村パート、それ以外に適時に事件のそもそも背景を断片的に入れていく、みたいに書いていって。 最後に全てのパートをガッチャンコして、読者に「おぉ~」と言わす、みたいな書き方をするんじゃないだろうか。 たぶん、そういう風に書いた方がわかりやすいだろうし。 何より、この書き方だと、ラストがちょっと説明くさくなってしまった気がする。 とはいえ、小説としては、それを補って余りあるくらいには面白いと思った。 てことで、例の『敗北への凱旋』はなかったことにして、次読もぉーっと(爆)
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+++ に結婚指輪をはめた左脚の白骨死体が山中で見つかり、 石室敬三とその娘は、その脚が失踪した妻のものだと確信する。 この事件をきっかけに、日本各地で女性の身体の一部が発見される。 伊万里で左腕、支笏湖で頭部、佐渡島で右手……それぞれが別の人間のものだった。 犯人は、一体何人...
+++ に結婚指輪をはめた左脚の白骨死体が山中で見つかり、 石室敬三とその娘は、その脚が失踪した妻のものだと確信する。 この事件をきっかけに、日本各地で女性の身体の一部が発見される。 伊万里で左腕、支笏湖で頭部、佐渡島で右手……それぞれが別の人間のものだった。 犯人は、一体何人の女性を殺し、なんのために遠く離れた場所に一部を残しているのか? 壮大な意図が、次第に明らかになっていく。 +++ 流れる空気は全体を通して暗く重いものである。時代の負った罪とでもいうようなものを、全身で憎み恨んでしまったひとりの男と、彼の周りで、知ってか知らずかに関わらずその空気に呑み込まれた人たちの復讐劇というような印象である。まるで、日本という国の負の記憶を一身に背負ってしまったかのような悲壮感と、ある種使命感のようなものが、彼を突き動かす原動力になっているとしか思えない。哀しく重苦しく、切なく澱んだものが折り重なったような一冊だった。
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