いやいやながらルパンを生み出した作家 モーリス・ルブラン伝

ジャック・ドゥルワール(著者), 小林佐江子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 国書刊行会
• 発売年月日: 2019/09/20
• JAN: 9784336063830

商品レビュー

2020/02/07

ルブランのも含めて周囲の人達の手紙や著作物から丁寧に抜き出しルブランを形造った．人物への注釈も入り，少々煩わしいほどの仕事だと思った．で、分かったことは，かなりお金に対して貪欲であるいはケチで出版社ともめている．かなりブルジョワで一族付き合う人々も金持ちが多かった．ルパンシリーズは本意ではなく，純文学で有名になりたかった．心配症で息子に毎日のように手紙を書いて様子を知りたがったことなど．ルパンには夢中になったけれど，ルブラン氏はそんなに面白い人物ではなかったようだ．

2020/02/02

世界的に有名な怪盗ルパンを生み出したルブランの伝記。
伝記なのでルブランの生い立ちから詳細に書かれているが、正直、少年期や青年期の部分を読むのは退屈だった。小説家・戯曲家として全く売れず、生活の為に止むを得ず書いたルパン物の短編が思いもよらず大ヒットし、人生が変わっていく辺りからがやはり面白い。ルパン物が売れに売れて成功者にはなっても、それ以外の戯曲がヒットしない事への葛藤も描かれ、老いていく晩年の描写なども重くて寂しい。それでも、初の完全な伝記としては読めて良かった。