商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2019/09/06 |
JAN | 9784120052286 |
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アスリーツ
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商品レビュー
3.3
9件のお客様レビュー
中学生時代はハードルで記録を期待されていた紗耶だが、大会で転倒しそれ以降陸上競技をやめた。やる気の失せた紗耶を親友の花奈が、進学校への進学と射撃部への入部を誘う。念願かなって、二人は県内トップクラスの進学校の射撃部に入る。初めての射撃に苦戦しながらも、紗耶は意外な資質を表すのだが...
中学生時代はハードルで記録を期待されていた紗耶だが、大会で転倒しそれ以降陸上競技をやめた。やる気の失せた紗耶を親友の花奈が、進学校への進学と射撃部への入部を誘う。念願かなって、二人は県内トップクラスの進学校の射撃部に入る。初めての射撃に苦戦しながらも、紗耶は意外な資質を表すのだが…。 あさのあつこは、中高生のスポーツものを書くと、どれもとても良い。この作品も、女子にありがちな嫉妬や親友同士の葛藤が素晴らしく良かった。紗耶の現在もさりげなく書かれている。
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「Match firing start」 試合開始。 空気が張り詰め、バシューン、バシューンとビームライフルの射撃音が響く。 広島県の超進学校 大明学園高校の結城沙那は親友の松前花奈に誘われて、全く経験のない射撃部に入部した。部員の獲得に苦労していた射撃部の面々は2人を大歓迎で...
「Match firing start」 試合開始。 空気が張り詰め、バシューン、バシューンとビームライフルの射撃音が響く。 広島県の超進学校 大明学園高校の結城沙那は親友の松前花奈に誘われて、全く経験のない射撃部に入部した。部員の獲得に苦労していた射撃部の面々は2人を大歓迎で迎えた。 沙那は中学時代の陸上部ハードル競技の試合でミスによる怪我をしたことから競技をやめてしまい、そのことがずっと心の傷となっていた。 ところが、入部して数か月後の練習試合で広島県チャンピオンの伊藤真帆に迫る成績を収める。そして、全国大会予選の県大会で真帆に次ぐ2位で全国大会出場を決めた。 沙耶は、この未知の競技の魅力とライフルを構えて標的に向かいあった時の昂ぶりに、ハードルでは得られなかったものを射撃では得られるような気がした。 自分の弱さを克服したい、ライフルと共に前に進みたい、そしてもっと上を目指したい、自分の射撃に納得するため前に進むことを決意した。 嫉妬、友情、心のすれ違い、様々な感情に翻弄されながらもアスリートとなるため未来に向かう少女の青春グラフティ。
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何か競技(特にスポーツ)を始めたばかりの頃は記録がどんどん伸びるから、上を目指すことしか考えないけれど、ある一定のレベルになるとパッタリと記録が伸びなくなる時が必ず来る。 競技を続けるか辞めてしまうかの最初の分岐点はそこなんだろうと思う。 主人公の沙耶は中学生。陸上ハードル選手なのだが、怪我をきっかけに部活動を辞めてしまう。その時顧問の先生に「ほっとしたか?」と聞かれる。怪我をした瞬間、悔しいという気持ちではなく「安堵」した自分を見抜かれていたことに驚くが、同時にこうも思うのだった。 「あたしは、とことんハードルと付き合えない。大好きだよと抱きしめることができない」 作者がスポーツを経験してきたかどうかはわからないけど、この言葉は、何かに打ち込み壁にぶち当たった人が「辞める」という選択肢を選ぶ一つの理由なんだと思う。競技を「楽しい」と思える人はやっぱり強いと思う。 退部届を出したとき、顧問の先生は「自分に合った競技を見つけて楽しめ。自分にぴたっと嵌まってくる何かが、人には必ず一つはある。おまえはハードルではなかったんだ」という言葉を贈った。その後、沙耶は高校に進学し、別の競技(射撃)と出会うのだが、陸上とは違った新鮮な気持ちが、挫折した心の痛みを徐々に癒やしていく。 きっと、大きな喪失感を抱いている人は、それを埋め合わせるための別の何かに出会うまで、グズグズと心にくすぶるものが残っているのかもしれない。なまじっか辞めた競技に中途半端に関わっていると、いつまでも気持ちの切り替えがつかない(それは自分かな…笑)。 この小説には沙耶の親友も登場するのだが、この二人がそれぞれ相手を思い、自分の未熟さを受け止めながら成長していく様子もとてもリアル。 全体的に丁寧な心理描写で、個人的にとても共感できる小説だった。
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