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隠された悲鳴
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隠された悲鳴

ユニティ・ダウ(著者), 三辺律子(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 英治出版
発売年月日 2019/08/30
JAN 9784862762894

隠された悲鳴

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商品レビュー

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2022/10/11

古より慣習として残る「儀礼殺人」、今なおそれにより命を落とす子どもが多くいることを、私は知らなかった。 権力を得るために、呪術師や呪術医を頼る。困り事があると、医師よりも役所よりもまず相談に行くのは彼らの慣わしである。問題や事件は彼らに占いで解決してもらおうとする。そんな風に一見...

古より慣習として残る「儀礼殺人」、今なおそれにより命を落とす子どもが多くいることを、私は知らなかった。 権力を得るために、呪術師や呪術医を頼る。困り事があると、医師よりも役所よりもまず相談に行くのは彼らの慣わしである。問題や事件は彼らに占いで解決してもらおうとする。そんな風に一見馬鹿げたような話がごく当たり前にされている地域があると思うと、なんとも言えない苦い気持ちが胸に広がる。 ノンフィクションではなくフィクションで書いた理由は読者が読みながら自分の考えを紡いでいく余地を残すためだと著者は言う。 正直なところ、フィクションだとはいえ、実際に起こっていることだと思うと、創作された物語としては読めない。 この物語では、アマントルというたまたまその地域に派遣された外部の人間がその慣習に口を挟む形になっている。けれど、彼らはそんなことでは全くびくともしない。それは心の底から何も悪いことをしていないと思っているからなのか、それとも悪いと思っていても行うことが当たり前で仕方がないことだからなのか。 こういった出来事とは無縁の読者に対しては、それを信じるものたちが固く戸を閉ざしているようにも見える。我々は黙って見ているしかないのだろうか。 実際に起こる事件をフィクションとして書き、その問題点の本質を浮き彫りにしている手腕はすごいと思う。 すごいと思うだけに、もどかしさの残る読後感となってしまった。

Posted by ブクログ

2021/12/05

ボツワナでの儀礼殺人事件を下敷きにしたアフリカ発のサスペンス。著者のユニティ・ダウは現職のボツワナ国務大臣である。 『テスカトリポカ』もそうだったが、陰惨な殺人を扱った小説は言葉で感想を述べるのが難しい。主人公であるアマントルが権力に果敢に挑み、事件の内容を掘り起こしていく様は...

ボツワナでの儀礼殺人事件を下敷きにしたアフリカ発のサスペンス。著者のユニティ・ダウは現職のボツワナ国務大臣である。 『テスカトリポカ』もそうだったが、陰惨な殺人を扱った小説は言葉で感想を述べるのが難しい。主人公であるアマントルが権力に果敢に挑み、事件の内容を掘り起こしていく様は痛快なように見える。しかし、ラストの衝撃を考えると彼女は単なる狂言回しであるようにすら感じる。 権力の腐敗やジェンダー格差は勿論問題であろう。だが、根本にあるのはボツワナ人が持つ呪術への信頼と恐怖である。ボツワナ人は何かあると「呪術医」を頼り、実際に他者を呪おうとしたり、あるいは呪いに対抗したりしようとする。 彼らを非科学的だと、非合理的だと笑うことはできるだろうか。我々が神社に詣でる心、勝負の前に験を担ぐ心と、彼らが呪術に頼る心は同一線上にある。ダウもまた、呪術信仰については決して否定しない。彼女自身、伝統と近代のコンフリクトに対し結論を自分のなかで出せていないのだろう。そこにある歯切れの悪さが却って人間臭い。

Posted by ブクログ

2021/02/13

儀礼殺人に関するサスペンス 序盤は男性観や価値観が違いすぎて読み進めるのが重かったけど、アマントルが登場してからは一気読みできた。 文化の維持と人権の保護、時として対峙するケースがあることをリアルに感じることができた。 人間を信仰は時として人を怪物にしてしまう恐ろしさを痛感。。。

Posted by ブクログ