商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 国書刊行会 |
発売年月日 | 2019/07/11 |
JAN | 9784336063588 |
- 書籍
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師任堂の真紅の絹の包み
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師任堂の真紅の絹の包み
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
申師任堂(신사임당)を主人公にした小説。師任堂の秘められた恋愛を描いている。もちろん、小説であるから、実話ではない。師任堂の残された詩歌から着想したものだと著者は書いている。男尊女卑の強い朝鮮王朝時代の両班の女性の生活を描く。出身、身分により自由恋愛など考えられなかった時代、ずっ...
申師任堂(신사임당)を主人公にした小説。師任堂の秘められた恋愛を描いている。もちろん、小説であるから、実話ではない。師任堂の残された詩歌から着想したものだと著者は書いている。男尊女卑の強い朝鮮王朝時代の両班の女性の生活を描く。出身、身分により自由恋愛など考えられなかった時代、ずっと秘めた慕情を死ぬまで守った人。優れた書画家で良妻賢母の鑑のように言われている師任堂を主人公にした恋愛小説を発表するのも勇気がいったのではないだろうか。韓国の5万ウォン札(오만 원 지폐) に申師任堂が描かれている。TVドラマの「色の日記」は申師任堂を主人公にしているという。
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本当に読み応えのある作品だった。読者である私自身があるときはサイムダンと一心同体となったのように悩み泣き、怒り、歓んだような気がする。 何百ページもの長いサイムダンの生涯を彼女と一緒にたどり、はるか昔の朝鮮王朝時代を風のように、しなかやに駆け抜けて生きたような心持ちになれた。 そこから浮かび上がるのは、才能豊かな女性にとってはけして生きやすいとはいえなかつたであろう激動の時代下の封建社会で、ただひたすら真摯に生きた申・サイムダンという女性の赤裸々な姿でしかない。 この物語の中で生きるサイムダンは、けして理想化された女性ではない。秘密の恋に悩み、結婚してもなお昔の恋に身を焦がし、嫉妬もすれば嘆きもする、誰かを憎みさえする生身の女である。 そんな彼女がそれでも、道を過つまいとその瞬間瞬間を懸命に真摯に生き抜こうとした軌跡が「申・サイムダン」という偉大な女性芸術家の今に伝わる業績の裏にあったーと素直に納得できる。 女性の聖人君子版のような、道徳の教科書に載るような模範的婦女伝であれば、読者の共感を得ることは難しいであろう。この物語が「人間、サイムダン」を描いているところに深い魅力があるのだ。 もう一度、読み返したいような味わいのある作品であった。 もちん、これは伝記ではないし、フィクション要素の大きな作品であるらしいのだが、現代に残るサイムダンが描いたという生き生きとした草虫図からは、やはり取り澄ました聖人(天才儒学者李栗谷の母)というよりは、人生の歓びも哀しみも味わい尽くした苦労人としての人間サイムダンの小さな生命、虫たちを見つめる優しいまなざし、愛おしむ情が伝わってくるがゆえに、実際のサイムダンという女性もこのような感情豊かなひとであったのではないかと十分にうなずけるのである。
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