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表象天皇制論講義 皇族・地域・メディア
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表象天皇制論講義 皇族・地域・メディア

茂木謙之介(著者)

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表象天皇制論講義 皇族・地域・メディア

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白澤社/現代書館
発売年月日 2019/06/27
JAN 9784768479766

表象天皇制論講義

¥3,740

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2019/08/07

 著者が東北大学大学院で行った集中講義の内容を土台とした一冊。この間の天皇(制)研究の水準が手際よく整理されている。敬体で書かれた文章も読みやすい。  第7章「僻地と国家」での秩父における秩父宮表象の問題、第8章「危機と奇跡」での植民地台湾におけるヒロヒトと「瑞祥」とのかかわりは...

 著者が東北大学大学院で行った集中講義の内容を土台とした一冊。この間の天皇(制)研究の水準が手際よく整理されている。敬体で書かれた文章も読みやすい。  第7章「僻地と国家」での秩父における秩父宮表象の問題、第8章「危機と奇跡」での植民地台湾におけるヒロヒトと「瑞祥」とのかかわりは、前著で皇族表象を取り上げた著者の本領がよく出たところだろう。21世紀の天皇小説としての『花咲けるエリアル・フォース』、天皇コミック『レッドマン・プリンセス』への言及と分析も興味深いものだった。ただ、「日本の近代とは不合理的なものを否定する時代であったと言っていいかもしれません」という一文には、あれ? と思ってしまった。怪異や超自然的現象の問題に接続したいなら、ここは「非合理」とするべきだったのでは?  全体を通して、「表象」を切り口とすることの利点とデメリットの双方について考えさせられた。「表象」という概念を用いることで、文学テクストやメディアの言説、地域の地誌や歴史叙述を等しく俎上に乗せていく方法的な地平が開かれる。しかし、このやり方だと、「語られたこと」を基本的に同じ土俵の上で扱うことになるので、法的・制度的な枠組みとの連続性や断絶、歴史的な転回点や屈曲を見出していくことが難しくなる。また、「言説や表象が存在する」ことを前提とする方法なので、「言説や表象の不在」には目が届きにくい点も問題となるだろう。  とくに本書では、秩父宮表象にかかわる部分で、葛藤や亀裂を積極的に見出していこうとする構えの方が先に立ってしまい、問題とされた表象の強度が、いつ・どこの・誰にとっての規範に対する相対化なのかがわかりづらいところがある。現在の視点から見たときの表象の揺らぎと、同時代の思考の枠組みの中でのそれとは、必ずしも同一ではない。このことは、「表象文化」を議論する上で、ひとつの重要なポイントになるのではなかろうか。

Posted by ブクログ

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