商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2019/05/11 |
JAN | 9784622087038 |
- 書籍
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アウシュヴィッツの巻物証言資料
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アウシュヴィッツの巻物証言資料
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商品レビュー
3.7
5件のお客様レビュー
アウシュビッツの大量殺人工場の運営を行なっていたゾンダーコマンド(特別作業班)が、未来の人に残すために書いた文章を瓶などにいれて、埋めた文書を解読するもの。 と言っても、文書の状態はよくなく、かなり読みにくい状態。また、カメラで隠し撮りした写真もぼやけていたり、小さかったりして...
アウシュビッツの大量殺人工場の運営を行なっていたゾンダーコマンド(特別作業班)が、未来の人に残すために書いた文章を瓶などにいれて、埋めた文書を解読するもの。 と言っても、文書の状態はよくなく、かなり読みにくい状態。また、カメラで隠し撮りした写真もぼやけていたり、小さかったりして今ひとつわからない状態。 そういう状態のものを丁寧に読み込みつつ、解釈をしていくそんな感じの本。 ここから何か新事実が現れてくるというより、そうした作業にあった人からどう見えたか、どう感じたかというところがポイントかな。 とくに女性の虐殺に関する記述にはなんとも言えない気持ちになった。 外国では、このした文書の研究はある程度あって、それらを踏まえたうえでのものと思われるが、日本にはあまり関連書籍はないので、関連するデータなどを付録で補完してほしかったかな?
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アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所における大量殺人は、人類史上、稀に見る残虐な戦争犯罪である。多くのユダヤ人らがガス室で殺され、焼却された。 大量の人を殺し焼き捨てるための施設がそのために建設され、用いられた。有史以来、およそ人が作りえた中で、最悪と言ってもよいほどの地獄であ...
アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所における大量殺人は、人類史上、稀に見る残虐な戦争犯罪である。多くのユダヤ人らがガス室で殺され、焼却された。 大量の人を殺し焼き捨てるための施設がそのために建設され、用いられた。有史以来、およそ人が作りえた中で、最悪と言ってもよいほどの地獄である。 その地獄の「官吏」となったのは、ユダヤ人のなかから選ばれた「特別作業班」=ゾンダーコマンド(Sonderkommando)だった。 ガス室まで囚人たちを導き、彼らが息絶えた後に大量の遺体を処理するのは、心身ともに大変な負担を伴うことである。そのいわば「汚れ仕事」をナチはユダヤ人自身に委ねた。この仕事に「向いている」者が選別されて従事する。だが、ある程度の期間働くと、彼らもまた「処分」されるというサイクルができていた。 全期間を通じて総計2000人のゾンダーコマンドがいたとされるが、生還したのは80人ほどだという。 アウシュヴィッツの収容所跡からは、ゾンダーコマンドが遺した文書がいくつか見つかっている。 地獄の最前線で、彼らは何を見聞きし、何を思い、それをどのように書き残し、どうやって保存しようとしたのか。 その全体を深く考察したのが本書である。 これらの文書は、死体焼却施設(クレマトリウム)の灰や土の中から発見された。 ゾンダーコマンドらは比較的恵まれた立場にはあったが、それでも紙や筆記具を手に入れ、ナチの目を盗んで物を書き、容器を探して、土中に埋めるといった、一連の作業は、強い意志や他者の協力がなくてはできないことである。 こうした手書きの文書は、書かれた内容だけでなく、(残っている場合には容器も含めて)それ自体が重要な「証言資料」ともいえる。インクがなくなっても書き続けようとしたペンの筆圧の痕跡、明らかに大きく書かれた単語等に、それを書いたものの思いが込められていることもあるからだ。 あるものは文学者のように書き、あるものは宗教者としての倫理性を示した。蜂起やゲットーの歴史を伝えたものもいれば、家族への私信を残したものもいた。 イディッシュ語、フランス語、ギリシア語と言語もさまざまであった。 文書だけでなく、ガス室の入口から隠し撮られた写真もある。 これらは旧約聖書の五書にちなみ、「巻物」と呼ばれた。 ある証言者はこう書き残す。 それは1944年の夏が終わるころであった。彼女らはスロヴァキアから搬送されてきた。間違いなく殺されることを全員が確実に知っていた。だが彼女らは落ち着いており、脱衣し、ガス室に入っていった。脱衣場から裸でガス室に入るさい、一人の女性が言った。「ひょっとして私たちにまだ奇跡が起きるかもしれない」 簡潔な描写は事実以上のものを伝えていないようにも思える。 しかし彼女がそう言ったこと、証言者が書き残したこと、それを読む現代の自分、それらが重なり合い、眼前に荒涼と地獄が拡がるような感覚にとらわれる。 おそらく、「巻物」の実物自体を目にすれば、さらにその思いは強まるのだろう。 ゾンダーコマンドらが遺した「巻物」には、十分な注意・関心が払われてきたとは言えない。 それはあるいは、彼らが被害者であると同時に加害者であったことによるのかもしれない。命の危険があり、他に選ぶ余地はなかったとはいえ、彼らの「業務」は間違いなく多くの死者を造り出したものだった。その文書には「膨大な死者の血がこびりついている」ともいえるのだ。 だが、地獄の中心を見つめ続けた「まなざし」、その「まなざし」の持ち主であった「人間」、その存在を今に遺す「巻物」は、やはり超一級の資料だろう。 本書は、「巻物」研究の最前線を伝えつつ、稀有な読書体験を与えてくれる、心揺さぶられる1冊である。
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ビルケナウ強制収容所の、死体焼却施設の作業に従事した、ユダヤ人のゾンダーコマンド(特別作業班)の班員たちが、70年以上前に書き記した一連の手書き文書と、残された4枚の写真を取り上げた一冊。彼らは手紙や手記などを地中に埋め、戦後に発掘された。ただ彼らのほとんどは生還するtことがなく...
ビルケナウ強制収容所の、死体焼却施設の作業に従事した、ユダヤ人のゾンダーコマンド(特別作業班)の班員たちが、70年以上前に書き記した一連の手書き文書と、残された4枚の写真を取り上げた一冊。彼らは手紙や手記などを地中に埋め、戦後に発掘された。ただ彼らのほとんどは生還するtことがなく、また生還への諦めも文章に混じっている。資料の考察ゆえ、一部しか文書が載らないけれど、全部を読んでみたかった。日本語訳にしても所々分かり難かったので、何度か読み返してみます。写真にはぞっとしました。
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