商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2019/05/09 |
JAN | 9784093523653 |
- 書籍
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誘惑者
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誘惑者
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実際に起きた事件をヒントに書かれたフィクション。 死に取り憑かれた友人に懇願されて 自殺幇助に手を染めた女子大学生の心理を追う長編。 主な登場人物は、 ・鳥居哲代:(旧制)京都大学一年生。心理学専攻。 両親を亡くし、染め物商を営む伯父夫婦の家で暮らす。 ・砂川宮子:哲...
実際に起きた事件をヒントに書かれたフィクション。 死に取り憑かれた友人に懇願されて 自殺幇助に手を染めた女子大学生の心理を追う長編。 主な登場人物は、 ・鳥居哲代:(旧制)京都大学一年生。心理学専攻。 両親を亡くし、染め物商を営む伯父夫婦の家で暮らす。 ・砂川宮子:哲代の(旧制)同志社女子専門学校からの友人。 大学には進学しなかった。 ・織田薫:哲代の(旧制)同志社女子専門学校からの友人。 同志社大学英文科一年生。旧家の生まれでプライドが高い。 【序章】 昭和25(1950)年3月、一人で三原山に登った男子学生が、 擦れ違った女性二人連れの一人だけが下山して 自分に追いついたのを不審に思い、警察に届け出た。 事情聴取を受けることになったのは 京都大学(旧制)一年生の鳥居哲代。 後日、新聞記事を読んだ通報者の大学生は、 夜の火山を乏しい懐中電灯の明かりだけを頼りに 一人でフラフラ降りて来られる神経の持ち主は、 犯罪者以外の何ものでもないだろうと考えた――。 最初、タイトルは 二件の自殺幇助に問われた哲代を指していると思って 読んでいたが、 徐々に、何事にも淡々と向き合う クールな哲代を「死にたい」という言葉で度々揺さぶる 宮子と薫の方が《誘惑者》なのでは? と考えるようになっていった。 特に薫のネチッこさが不気味。 当初、薫が哲代に恋していて、 自分より哲代と一緒にいる時間が長いような宮子に 嫉妬しているのかと思った。 ともあれ、現代より遙かに女子の大学進学率が 低かったはずの時代における超才媛が、 周りは男ばっかり、みんなアタシを見てる、 モテモテ超モテ期ウハー!(←バカ☆)とはならず、 隙を見せたら襲われるとばかり、 常にピリピリ脇を締めている姿が痛々しい。 但し、哲代は周囲の異性を意識していない風を装っている―― というか、性的な問題は心の奥底に封じているかのよう。 怖ろしい行為の実行によって、 当人もそれとは知らないうちに、その箍が外れる話…… と受け取ったが、いかがなものか。 二人目の自殺者・薫を見送った後、 哲代はエクスタシーを覚えただろうか? 何にせよ、三人称ほぼ一視点で綴られる本文中、 キャラクターの名を一々毎回 フルネームで表記しているところが異様。 事件の不可解さが際立つとも言えるが、 作者独特の頑なさのようなものを感じた。 大学の講師・麻田の先輩だという 鎌倉在住の高等遊民、松澤龍介が どう見ても澁澤龍彦のカリカチュアで、 松澤邸での馬鹿げたシーンが唯一の救い。 【参考】 https://bunshun.jp/articles/-/15686
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自殺願望を抱く友人二人を三原山まで同行して火口に投身させた自殺幇助者の鳥居哲代。自殺者と自殺幇助になっていく軌跡をミステリー風に描いた作品。高橋たか子は初めて読みましたが、鋭い文章で構築された本作は物凄い緊迫感に充ちており、圧巻でした。人と人の関係は時として意図しない、本意ではな...
自殺願望を抱く友人二人を三原山まで同行して火口に投身させた自殺幇助者の鳥居哲代。自殺者と自殺幇助になっていく軌跡をミステリー風に描いた作品。高橋たか子は初めて読みましたが、鋭い文章で構築された本作は物凄い緊迫感に充ちており、圧巻でした。人と人の関係は時として意図しない、本意ではなかった行動へと導く。気が付いた時には自分の役割から降りられない。砂川宮子が死の直前に明かした「私はわかってほしくなかったのよ。誰もわかってくれる人がいなければ、わかってくれる人が見つかるまで、きっと私は死ななかったわ。そうなのよ、あっけないほど、あなたはわかってくれたから、もう私はもぬけのからのように安心したのよ」この真情は解る気がする。死にたい理由を他者にこうもあっさりと理解されると自分が白白と空白になって、生きることに繋ぎ止めていた錘が無くなってしまう。砂川宮子の自殺の理由は切実なものを感じたけれど一方、織田薫の方はぼんやりとした死への憧れだったのではないかと思う。砂川宮子の死を知ってその思いが強まり、また彼女が死ねたのだから私にも出来る、きっと死んでみせる、という競争心。織田薫は本当は死にたくなかった。だからあんなに死の手順に拘り死の条件を必死に整えていたのだろう。最後、火口へと至ったのも自力ではなかった。鳥居哲代は二人の自殺幇助者となることで、自分をも殺していたに違いない。
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高橋たか子がP+D BOOKSに初登場。 復刊するにあたり、泉鏡花文学賞受賞作であり、名作と名高い『誘惑者』が選ばれたのは妥当なところだろう。但し、『誘惑者』自体は、さほど入手が困難ではなかったので(講談社文芸文庫版が近年まで普通に売っていた)、次は『彼方の水音』『双面』『骨の城...
高橋たか子がP+D BOOKSに初登場。 復刊するにあたり、泉鏡花文学賞受賞作であり、名作と名高い『誘惑者』が選ばれたのは妥当なところだろう。但し、『誘惑者』自体は、さほど入手が困難ではなかったので(講談社文芸文庫版が近年まで普通に売っていた)、次は『彼方の水音』『双面』『骨の城』辺りを期待したいところ。 さて、『誘惑者』と言えば三原山。この三原山での、2人の友人の自殺に付き添った主人公に目が行きがちだが、個人的に一番薄気味悪いのは、2人目に自殺した織田薫の方ではないだろうか。1人目である砂川宮子の足跡を執拗に辿ろうとするその姿は、生と死の間で揺れ動いているというよりも、死者と成り代わろうとする執念を感じさせる。ここでのポイントは、成り代わろうという対象が『死者』という点だろう(相手が生きていたら、それは〝ルームメイト〟だ)。 以下は内容とは無関係な上に、めっちゃ些末な話。 再読するたびに不思議に感じるのだが、幾ら古くから登山道が整備されて、火口の近くまで行ける三原山とはいえ、昔の、暗い懐中電灯ひとつで、土地勘のない女子大生が、1人、下山出来るもんだろうか……? 下手したらコイツも遭難じゃね?w
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