商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 五月書房新社 |
発売年月日 | 2019/04/08 |
JAN | 9784909542175 |
- 書籍
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大国政治の悲劇 新装完全版
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大国政治の悲劇 新装完全版
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
オフェンシブ・リアリズムという国際情勢についての現実認識を展開している。世界は各国が攻撃的になるように構造化されていると。そうかな~、よく分からないな~、とずっと思いながらこの分厚い本を読んでました。 起きた現象の説明には部分的になってはいても、それがこの世界の構造そのものの説明...
オフェンシブ・リアリズムという国際情勢についての現実認識を展開している。世界は各国が攻撃的になるように構造化されていると。そうかな~、よく分からないな~、とずっと思いながらこの分厚い本を読んでました。 起きた現象の説明には部分的になってはいても、それがこの世界の構造そのものの説明になっているのかというと、納得できるとは言い難かった。 こういう大風呂敷を拡げるのも悪くないとは思いますが。
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国際関係のアナーキー性に着目し国家間の競争に焦点を当てて分析する「リアリズム」の立場に立つ本書。著者は、自説を「オフェンシヴ・リアリズム」と称し、大国がパワーを求めることを前提にその理論を展開する。その理論では国家がパワーを求めるのは生来備わった性質ではなく、アナーキーな国際シス...
国際関係のアナーキー性に着目し国家間の競争に焦点を当てて分析する「リアリズム」の立場に立つ本書。著者は、自説を「オフェンシヴ・リアリズム」と称し、大国がパワーを求めることを前提にその理論を展開する。その理論では国家がパワーを求めるのは生来備わった性質ではなく、アナーキーな国際システムによる構造的なものだとする。そのシステムの下で大国の目標は自国の生存を脅かす脅威を取り除いた地域覇権国になることであり、近代以降にこの目標を唯一達成した国はアメリカ合衆国だけであるとする。 本書の一番の読みどころは、最終章の中国の台頭に関する分析だろう。それまでに近代以降の欧州、米国、日本に対して用いてきた分析枠組みを中国に対して適用し、米中間の対立を鮮やかに分析している。ただ、その結果、「オフェンシヴ・リアリズム」の理論に従えば、米中の競争・衝突は避けなれないという身も蓋もない結論が導かれてしまう。 最終章手前までの著者の議論は、歴史の事実に強引に自説を当てはめているような印象もあったが、中国の台頭に対する米国や周辺国の反応が著者の理論に沿った動きを示していたことから、一気に説明力が高いもののように感じた。私自身は米中対立はそうは言ってもどこかでエスカレーションが止まり手打ちになる、あるいは世界のために手を取り合うことができるという考えだったが、本書を読むことで悲観的な見方に傾きつつある。もう少し別の視点の著作を読むなどして自身の考えを整理していきたい。
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「フルコースのディナーをワインとともにガッツリいただきました」という読後感です。辞書並みに分厚い本で、読むのを躊躇しましたが、この「新装完全版」には「中国は平和的に台頭できるか?」が追記されているとのことで、思い切って挑戦。発行年は、2019年ですが、歴史を振り返りつつ(日本についても詳述)、いまにも通じる内容です。 「オフェンシィブ・リアリズム」を主張される著者の要点は、おおよそ以下の3点。①国家を超えて全世界の安全を守る中心的な権威がなく、②どの国もある程度の攻撃的な軍事力を持ち、③国家同士は夫々が何を考え何をしようとしているかを完全に把握できない、なかでは、大国は生き残りのために覇権を求めるというもの。そのため、大国の防御的な対応は、もう一方の大国からは攻撃的と映り、偶発的に紛争に至りかねないと説いています。 最終章の中国の部分では、この25年間で、過去の中華思想から「列強に支配された『恥辱の世紀』を経験した」と認識を変え、その恥辱を晴らすことが重要目標の一つとなり、「もし中国が劇的な経済成長を今後の数十年間続けられれば、アメリカや周辺国との激しい安全保障競争を展開するようになる」と推論しています。中国も少子高齢化・人口減少などで、今後「劇的な経済成長」を図れるかは怪しくなりつつありますが、(著者も書いているように)この推論が外れることを期待したいところです。
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