クモンカゲ 韓国の小さなよろず屋

イ・ミギョン(著者), 清水知佐子(訳者)

• 販売会社／発売会社: クオン
• 発売年月日: 2019/04/06
• JAN: 9784904855843

商品レビュー

2024/08/31

訳者 清水知佐子さんのあとがきによると、クモンカゲは「クモン（穴）」と「カゲ（店）」という二つの言葉の合成語で「小さな店」という意味、とのこと。

韓国のあちこちにある、小さなよろず屋が繊細なペン画で描かれている。その絵は繊細で、写実的でもあるが、柔らかくあたたかい。
著者は1970年生れとのこと。幼い頃の生活風景を文章で綴っているが、、著者よりは10歳上になる私が子どもの頃の生活風景とよく似ている。

そして、私の生家も村のよろず屋だった。母方の親戚、伯父の家や祖母の実家なども、みな小さな店をやっていたのだが、ここに描かれたクモンカゲの姿は、私が幼い頃慣れ親しんだ村のよろず屋と似ていて、より懐かしさを感じた。
幼い頃からかの地を離れるまでの、生家や伯父の家での思いでの情景が、あれこれと蘇ってきった。

著者の言うとおり、こうしたクモンカゲのような生活に密着した建物が、取り壊され失われてしまうことは、私たちの過去や故郷、思いで、アイデンティティを失ってしまうことになるのではないか。
「無分別な開発ではなく、わたしたちの命の根源をいま、復元と保存によって取り戻さなければならない。取り返しがつかなくなる前に。」

2022/10/12

作者のイ・ミギョンさんが韓国の実に様々な場所を巡ってみつけたクモンカゲ(小さな店)を、四季折々、ツバキ、シモクレン、ハクモクレン、桜、梅、サンシュユ、柿、ナツメ、松、柳、ビャクシン、ボケなど、季節や場所によって服を着せかえるように、美しく繊細なタッチで描いています。
スーパーやコンビニに取って代わり、次第に姿を消していくクモンカゲを大切に、心を込めて、幼い頃の思い出や家族とのエピソードなどを交え優しく語りかけてくれる一冊です。
日本版に寄せて日本の古い商店の絵も加えられています。