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中国怪談集 新装版 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2019/03/10 |
JAN | 9784309464923 |
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中国怪談集 新装版
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商品レビュー
3.6
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中国の妖怪怪異が好きで、この本もその類も思ってよんだが実際には全く違う。まさに奇怪な怪しい話としか言いようがない迫力ある話の集成であった。 私は中国という国に混沌した印象を持っているが、この本に収録されている話はまさにそれを象徴していると思う。真実を捻じ曲げているであろう政治的なプロパガンダ、人々を喰らう自然災害、かつて行われた信じられないような残虐行為の記録、人間の欲望の生んだ怪異、謎めいた歴史に消えた言語、悍ましい見せ物と虐待、奇妙な雰囲気を纏うsf…。どれも中国という歴史の深く人の多く広い土地で生み出された奇怪な造形であり、じっとりとした嫌さやモヤモヤ、何とも言えぬ力強さと迫力なと隣国かつ神秘の国である彼の国に思いを馳せずにはいられない印象を残す。 特に気に入ったのは二つある。一つ目は宇宙山海経。太陽系の惑星と架空の星々の環境とそこに住まう人々について山海経風に書かれたsf的記録だ。自由奔放な発想と奇怪な姿をした人々はどこかユーモラス。星々の中にはまだ動物や人間が生まれていない若い星や滅びかけの古い星などもあり、そこを舞台とした小説もかけそうなくらいだ。そしてそんな中でも使われている言語がやたらと中国の漢字っぽいなど、何とも言えない印象を受ける作品だ。個人的に一番気に入ったのは天苗星。悪魔のような姿をしていながら優しい人々と、その何とも言えない愛嬌のある現地人のおじさんのイラストが良い。二つ目は五人の娘と一本の縄である。五人の仲の良い娘の集団自殺を描いた小説だが、言葉遣いや雰囲気がふんわりと軽やかで奇妙に明るく、暗さと明るさが入り混じった白夜じみた印象の小説だ。娘達にちょっかいをかける少年や掴みどころがなく怪しげな占い師の老女など脇役にも良い描写が多い。また可愛らしい娘達の言動や振る舞い、文章中の巧みで面白い比喩が楽しく収録作品の中でも一際スラスラと読めた作品だった。それでいて娘達が自殺を選んだ理由づけである中国の古風な社会の女性に対する理不尽極まりない扱いや暴力、それに対する絶望は鋭くこちらの心を刻んできており恐ろしい。そのままだと自殺に対して割と前向きになってしまいそうな読み味だが、特に絶望の描写はなく両親とも悪くない関係性と見え自殺に怯える金梅とその死後の両親の姿や、明桃の分の料理をとっておき彼女の自殺を聞いて飛んで駆けつける父親の姿が最後に示されることで、そちらの方向性にもいかず、なんとも混沌した後味の悪さと爽快さの併せ持つ読後感を受ける。ここに紹介される作品の多くもこういう混沌とした読後感となるものが多く、中国の文学の味わいと面白さを感じたことであった。
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各国怪談集シリーズの一遍。ロシア、イギリス、アメリカ、ラテンアメリカと読んできての中国。 これ、明らかに怪談じゃないよ。他の国とはかなり異質だと思う。シリーズにするなら、それなりの関連性が無いとシリーズとしてちぐはぐな感じが否めない。 バランスは大事だよ。
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「怪談集」とありますが 日本で言う「おいわさん」とか「ろくろ首」とか、そういう怖い系伝承話という意味での怪談 で は な い です。 全然違います。 おどろおどろしい…のは、共通するかもしれませんが、 呪われたり祟られたり憑かれたりとかいうのではないです。 伝奇集、って言った方...
「怪談集」とありますが 日本で言う「おいわさん」とか「ろくろ首」とか、そういう怖い系伝承話という意味での怪談 で は な い です。 全然違います。 おどろおどろしい…のは、共通するかもしれませんが、 呪われたり祟られたり憑かれたりとかいうのではないです。 伝奇集、って言った方がイメージは近いのかな?と思います。 私はタイトルにちょっと騙された…という気がしないでもないですが(呪いとか祟りのほうだと勘違いしていた)、でも これはこれとして楽しめました。 不可解な現象、不可解な言語、不可解な人間、不可解な事件… そういったものが心にもたらす不安定さは、まさに「怪談」と重なる部分が多く 自分の“部屋”の壁の一歩外の世界が果たして何でできているのか 急に信じられなくなるものです。 1つ読むごとに不可解な点が増えていきます。 ラストの天安門事件の記事は…「こっち」が歴史(正史)として残る可能性が高いんだな、ということに気付いてしまうと………。………。ね。 「十卺楼」と「死人たちの物語」は、中国ドラマでありそうな感じ。 「阿Q正伝」は有名なのに読んだことなかったので、触れられて良かったです。辛亥革命の頃の話だというのもこれで初めて知りました…。 うーむ、中国…奥も闇も、深い…。
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