名義財産をめぐる税務 Q&Aと事例でわかりやすく解説 裁判例・裁決例の結論から国税のプロが読み解く判断要素

渡邉定義(著者)

• 販売会社／発売会社: 大蔵財務協会
• 発売年月日: 2019/01/25
• JAN: 9784754726225

商品レビュー

2022/03/26

名義財産をめぐる相続・贈与税、所得税、法人税について判例・裁決をもとに解説された書籍。裁判例、裁決例が豊富でわかりやすい内容であった。名義財産について横断的に理解したい人にはお勧めの書籍だ。
P11
名義財産の帰属判定の際の証拠資料
相続税の場合、一般的に法定の帳簿書類がないことから、証拠として機能する物証は極めて乏しいとされています。しかし、家族名義預金等を相続財産の対象とした遺言書や遺産分割協議書、更には被相続人又は相続人らが作成した財産の内容を記載したメモやデジタルデータなどは、非常に有力な証拠となります。
その他には、次のような書類等が重要な証拠資料になると思われます。
①出捐者(拠出者)に関する証拠資料
・金融機関の取引履歴に関する資料
・出捐者(拠出者)が誰であるか分かる書類(売買契約書、領収書、計算書等)
・通帳等に記載されているメモ等
②資金の拠出の検討に関する証拠資料
・給料明細や確定申告書控え
・売買契約書、贈与契約書、金銭消費貸借契約書、登記事項証明書等
③管理運用者、利益の享受者、預入行為者等に関する証拠資料
・金融機関が保管する印鑑票、各伝票(筆跡)の確認
・印鑑、通帳等の保管場所
④内部関係に関する証拠資料
・贈与契約書、公正証書、被相続人や相続人等の意思を推認できるメモ等
・被相続人、相続人及び関係者の日記等
このほかにも各相続において個別の証拠資料は存在すると思われますが、生前から証拠資料の収集は忘れずに行ってください。