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蠕動で渉れ、汚泥の川を 角川文庫
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蠕動で渉れ、汚泥の川を 角川文庫

西村賢太(著者)

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蠕動で渉れ、汚泥の川を 角川文庫

968

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2019/01/24
JAN 9784041076460

蠕動で渉れ、汚泥の川を

¥968

商品レビュー

3.7

17件のお客様レビュー

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2025/01/07

17歳、中卒で日雇い労働者。恋人はおろか友達もいない、下劣で性格も悪い、その日暮らしの青年のありのままの生き様。 ある人に西村賢太の『苦役列車』を勧められ、早速図書館で借りようとしたが貸出中だった。そのため、タイトルに心惹かれた同作者の本作を手に取った。 クズを煮詰めたような...

17歳、中卒で日雇い労働者。恋人はおろか友達もいない、下劣で性格も悪い、その日暮らしの青年のありのままの生き様。 ある人に西村賢太の『苦役列車』を勧められ、早速図書館で借りようとしたが貸出中だった。そのため、タイトルに心惹かれた同作者の本作を手に取った。 クズを煮詰めたようなどうしようもない人物像に全く共感できないと思っていた。ところが、彼の弱さや下劣さ、狡さ、愚かさを一切隠さずに描いた文章には「自分にもこういう面が少なからずある」と思わされ、一瞬一瞬の主人公の心の動きに意外にも共感してしまった。 ただし、彼は何事においても自分のことしか考えず、その後の行動がことごとくまずい。自分の首を絞めるような愚かな行為ばかりを繰り返してしまう。 中卒とはいえ、地頭が全くの馬鹿というわけではなさそうだし、読書家だから想像力が欠如しているわけでもなさそうだ。 それなのに、どうしようもなく破滅的な行動ばかり取るのは、若さゆえに感情をコントロールできなかったり、自尊心が著しく低く、傷つきやすいせいなのだろう。 人は生い立ちを選べないし、持って生まれた気質というものもある。たまたま今の私はこのような境遇に生まれついているが、いくつかの並行世界には、この主人公のように生きている私もいるのかもしれない。

Posted by ブクログ

2024/11/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 こみ上げてくる恥辱感に、暫時顔を伏せて瞑目する貫多は、このときふと、自身の心に強固な支えとなるものの不備を感じた。  こんな際に、その存在を思えば、その存在さえあれば、他のことはすべてがどうでもよい、と達観できるまでにのめり込み、すがりつける対象となる何かがあれば、どれだけ救われることだろう。 このあとに貫多は田中英光や藤澤清造と出会っていくのだと思うと感慨深い。 ただ、今回の作品は西村賢太の中でも最も笑った! ヒトを感情溢れるままにこき下ろす暴言には才能さえ感じる(笑)

Posted by ブクログ

2024/10/22

この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ...

この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ』好きの自分には共通点が感じられるし、だからこそこれだけのめり込んでしまっているのだろう

Posted by ブクログ