商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2018/12/22 |
JAN | 9784101069333 |
- 書籍
- 文庫
海と山のピアノ
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海と山のピアノ
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商品レビュー
3.5
7件のお客様レビュー
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それぞれが一見突拍子もない話に見えて、世界が海でつながっているように短編全体が同一のテーマで満たされている。 全体が非常に考えられて構成されていると感じる。海や山といった平地とは違う高さにあるものはどこか異界とつながっており、平地に恵みや災いをもたらす。ときに荒々しく、時にやさしく人々と共鳴する。 個人的には海賊船の話が特によかった。
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- ネタバレ
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水といのちのお話。陸は海、海は陸、生も死も一続きになって「うた」にのせてぐるぐる回る、そういう強いテーマが短編たちの間に貫かれていてとても統一感ある短編集だった。 「ルル」はちょっと反則だろう、と思いながらボロボロ泣いたけど、一番好きなのは「野島岬」だ。 「わかんねえからってびびっちまって、ちっちゃけえ理屈ぶっかぶせようってもよ、金魚すくいの網でメカジキ追っかけようってなもんなんだ。わかんねえもんはしゃんねえべ、オイラもオメエらも脳みそこんなだしよ。けどよ、パッと見意味なくって、わかんなくってもよ、どんぴしゃのアタリって、案外目の前にぶらさがってんみてえなもんじゃねえか、なあよ、オイ」 そう、私も脳みそこんなで、金魚すくいの網だから、いろんなことわかんないけどしゃんないよね、と思ってなんかすがすがしく、すっきりした。 漁師たちの台詞がまた面白くて、微妙に言葉が足りない感じ、繰り返される感じ、荒々しいリズムが、ああ海で生きている言葉なんだと思ってすっと入ってくる。これも「うた」かな。 解説も良かった。いしいさんの本の暗闇の話。私は「プラネタリウムのふたご」が大好きなんだけど、あれもどうにもやりきれない闇、かなしさが広がっていて、でもそれと共にある人間とおはなしの強さが暗闇にきらきら光っていた。言わんとすることすごくわかる。 「しかし本作では、それがけっしてただの悲しみとしては描かれない。……それら無数の境界を越えていく。」 確かに、どの話もすごく優しかった。大丈夫、暗闇の中でつながっている、続いている、ずっとずっと続いている、たまに入れ替わりながらも続いている。全部が当たり前だと思える、お話の力強さ。いしいさんだなあと思う。
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ルルや船長、オヤジさんやちなさ。そして、キキさんやアヤメさんは、きっとこの星の、このくにのどこかにいるのです。そして、わたしのこころの中にも。
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