商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2018/12/08 |
JAN | 9784582837919 |
- 書籍
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ケイレブ ハーバードのネイティブ・アメリカン
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ケイレブ ハーバードのネイティブ・アメリカン
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商品レビュー
4.1
8件のお客様レビュー
油絵を思わせる本のカバーにまず目を奪われた。砂浜に立つ二人は、先住民ワンパノアグ族の酋長の息子ケイレブと、入植したイギリス人牧師の娘べサイアだ。 17世紀のアメリカで、ハーバード大学を卒業したネイティブ・アメリカンがいたことに驚く。この時代は「女性に学問は不要」との考えが当たり...
油絵を思わせる本のカバーにまず目を奪われた。砂浜に立つ二人は、先住民ワンパノアグ族の酋長の息子ケイレブと、入植したイギリス人牧師の娘べサイアだ。 17世紀のアメリカで、ハーバード大学を卒業したネイティブ・アメリカンがいたことに驚く。この時代は「女性に学問は不要」との考えが当たり前で、べサイアはお兄さんを学校に行かせるために奉公に出されてしまう。 「女のくせに…」「きちんとした妻は、そんな口の利き方をするもんじゃない」高圧的な言葉に憤りながらも、多くの女性が声をあげることができないそんな時代だった。 女に値はありや、なしや 女に理なしと言う者には知らしめよ 母親のかわりに家事を切り盛りし、妹のソレスの面倒も一人でみてきた。ケイレブと出会ってワンパノアグ語も話せるようになり、島の植生や薬草の勉強もした。けれど船の事故で亡くなったお父さんのかわりに宣教師になることは叶わない。「女だから」ずっとだれかのために17歳の私の人生はささげられる。「奴隷になんかなるんじゃないぞ」と言ったケイレブ。彼もまたワンパノアグの仲間のために、みんなが生きるために改宗し大学へ進もうとしている。 時代の中で抑圧された立場にいる者の思いが、見事に描写されていると思った。 同時に"知識を得ること" "自分で考えて進む道を決めること" など大切なことを教えてくれる。 手記という形を取り、べサイアの言葉で語られる。時代が前後して読みづらさを感じるところもあり、ケイレブの思いをもう少し知りたいとも思ったが、壮大なスケールの物語に出会えたことに感謝したい。
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17世紀、ハーバード大学に入学したネイティブ・アメリカンがいた。この史実を元に、間近で見てきた少女の目線で描いた壮大なフィクション。 さまざまな制約のなかで、自らの人生を選んでゆくことの大切さを感じた。
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初めてハーバード大学に行ったネイティブ・アメリカンであるケイレブの物語。 17世紀のヨーロッパでは女性にもネイティブにも人権はなかった。貴族だけでなく一般人もそうだった。女に教育は必要ない。未開人などなおさらだ。しかし、キリスト教の布教のため、インディアンを教育し、牧師として送り込めば高等教育を終えた優秀な人をインディアンの集落に送り込まなくて済む。そのためなら国はお金を出す、という政策があり、ケイレブのようなネイティブでもとりあえず道はひらけていた。 物語の語り手であるベサイアは、才気にあふれ、兄をもしのぐ頭脳の持ち主で、それ故に女には学は必要ないという考え方に苦悩する。兄の勉強が進まず、ギリシャ語やラテン語に苦労しているそばで、門前の小僧よろしく知識を蓄えて行く。 ケイレブとの出会いのシーンは素敵で、このままロマンスか、と期待させるが、そんな事を考える年ではなかった。そこではもっぱら心を通わせ、きょうだいとなっていく。ベサイアの母は産後の肥立ちが悪く、ベサイアが15の時に亡くなってしまう。そこからは主婦として家事を担い、乳飲み子の妹の世話をする。ヤングケアラー。それでも牧師の父が兄やケイレブ、ジョエルらに教えているそばで耳をそばだてていた。 当時の暮らしや自然の描写が素晴らしく、また、厳しい社会状況により人々が亡くなって行く。それはとても辛いことで、また、人生を左右する。 ベサイアは、兄のため4年間の年季奉公に出される。大丈夫なのかと不安になる衛生状態でベサイアは必死に働く。 読み終えるまで時間はかかったが、17世紀の社会や女性の置かれた立場などがわかり、勉強になった。 ベサイアの母の教え、沈黙は金をベサイアは応用して生き抜く。勇気と思いやりにあふれたベサイアをケイレブは愛していたと思う。
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