商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 松籟社 |
発売年月日 | 2018/12/01 |
JAN | 9784879843708 |
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『彼女は雄牛と会話したことがあると断言した。「何についてだ?」と僕は楽しげに尋ねた。「まあ、子牛がどうとか、たわいのないことよ」と彼女は言った』 眠らない夜。眠れない夜。一つの文字を取り違えただけで主人公の内に生まれる絶望感。けれど、静まり返った夜に取り残されたと感じる孤独感は...
『彼女は雄牛と会話したことがあると断言した。「何についてだ?」と僕は楽しげに尋ねた。「まあ、子牛がどうとか、たわいのないことよ」と彼女は言った』 眠らない夜。眠れない夜。一つの文字を取り違えただけで主人公の内に生まれる絶望感。けれど、静まり返った夜に取り残されたと感じる孤独感は、どちらにとられてもそれ程の違いはない。その孤独を分かち合いたいという矛盾した感情を意識下に封じ込めたまま、主人公はあてどなく街をさまよう。その彷徨がやがて運命的な出逢いに辿り着くという物語。 湿潤な日本の風土では、ともすれば暴力的な描写は湿った雰囲気を喚起しがちなようにも思うけれど、本書の中のそれが低温でありながらも乾いたように感じるのはベルギーという土地柄のせいか。吐瀉物や傷から流れる血さえも、たちまち乾いていとも簡単に払い落とされる。アニメの中の世界のように、さらさらと。眠らない主人公たちの夢が現実の風景の中に巣食うように、語られる何もかもが妄想のように聞こえる。 終盤、主人公の一人の見るマッコウクジラの幻想は現実との奇妙な交錯を生み、浮遊感のある物語を急に地面に引き戻し繋ぎ止め収束を強制する。ある意味ご都合主義的なその展開に付随する現実感の確かさに、夢現の状態を堪能していた読者は戸惑うに違いない。そして、『もしかしたら』と記されて終わるそのエピローグは、そこから先に待っている展開がネロとパロラッシュの最後ようなものであることの暗示なのか、と訝しむ気持ちを抱かせる。アンネリース・ヴェルベーケの、癖になりそうな「フランダースの声」。
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不眠症である20代の女性と50代の男性が交互に出てくる。交わることもある。眠れない不満を全人生全社会の不満と錯覚し、鬱々と引きずりながら人生という北風に吹かれる。んだけども、テーマは不眠症でなくて違う所にある。人それぞれ充実した生活をしていても、突如「誰も私を理解することは不可能...
不眠症である20代の女性と50代の男性が交互に出てくる。交わることもある。眠れない不満を全人生全社会の不満と錯覚し、鬱々と引きずりながら人生という北風に吹かれる。んだけども、テーマは不眠症でなくて違う所にある。人それぞれ充実した生活をしていても、突如「誰も私を理解することは不可能!」みたいな穴に落ちる時があって、そこの領域って誰にでも犯されない、お母さんのお腹の中みたいな心地よさない?直ぐ様そこから立ち去るのか、居座るのか決めるのはまた別問題だけど、この本は孤独って別に変なことじゃないよ、と教えるようだ。
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