シロクマが空からやってきた！ スプラッシュ・ストーリーズ35

マリア・ファラー(著者), 杉本詠美(訳者), ダニエル・リエリー

• 販売会社／発売会社: あかね書房
• 発売年月日: 2018/11/23
• JAN: 9784251044358

商品レビュー

2021/07/14

ヤングケアラーを題材にしている本を探していて。

シロクマのミスターPは何も喋らないし、特別何か働きかけてくるわけでもなく、ただそこにいるだけ（騒動は起こすが）。
でも、そこにいることがルビーの支えになっていく。

ヤングケアラーを扱った児童文学を数冊読んだが、共通しているのは周りに知られたくないと思っているということ。大人が介入することによって、自分の家族がバラバラのされるかもという不安から、周囲に相談できずに1人で抱えている。
現実でも多分そうなんだろうと思う。
だからなかなか表面化せず、問題が大きくなるんだろうなと感じた。
現実世界にはミスターPはいないし、物語のように上手くいくようになるばかりではないだろうから。

2021/03/14

悩みを抱えた家族のもとにやってくるシロクマミスターP。
このシリーズ、お気に入りです。

児童文学なんだけど、大人が読んでも面白いと思う。

ルビーは、パパが出て行ってからふさぎこんでしまったママの世話とまた赤ん坊の弟、レオの面倒で、子供ながら忙殺の日々を送っていた。

そして、スケートボーダーだったお父さんを想い、いつか自分もスケートをしたい。そんな妄想に耽る。

そんなルビーの前に、気球に乗ったシロクマが現れ、なぜかルビーの元を離れない。

ママとレオのことでいっぱいなのに、家に住みついてしまったシロクマの世話まですること。

意地っ張りなルビーだったけど、同じマンションに住むおばちゃんや、公園で出会ったスケートボード少年、新しいクラスの同級生、など、少しずつ本心を話せる「仲間」が増えていくのだった。
気持ちも前を向き始める。
それは、ミスターPの存在が大きかった。

愉快で愛らしいミスターPには、終始癒される。

たまにこういうほっこりとした児童文学を読みたくなる。

2019/09/26

『シロクマが家にやってきた！』の続編。ヘーゼルダウン農場に着いたミスターPが、今度はルビーに出会う話。
ルビーは10歳の女の子でスケボーがやりたい。でもこの子の境遇は前作よりもかなり過酷で、父親は失踪。母親は鬱？おまけにまだ赤ちゃんの弟までいる。だからルビーは自分の世話はもちろん、母親と弟の面倒まで見ている。
どれか一つでも辛いのに3つもだなんて！驚きもあるが、きっとこういう環境に陥ってしまっている子もいるのだろう。
ミスターPが現れて、少しずつ友達や力になってくれる人と縁が出来る。何より最高だと思ったのは、学校が彼女に合うだろうと考えて別のクラスに入れてくれること！日本でもこのくらい柔軟にやってほしい。
また、ミスターPの物語を読みたいので、続編がどんどん出るといいな。