絵でつづる塗り壁が生まれた風景 左官仕事のフォークロア

小林澄夫(著者), 村尾かずこ(その他)

• 販売会社／発売会社: 農山漁村文化協会
• 発売年月日: 2018/11/13
• JAN: 9784540181221

商品レビュー

2024/07/02

民俗としての石灰工業。

大学の「コンクリート工学」の参考書として使用。三和土や漆喰を手作りする方法と、施工例を紹介する。
原材料の採集に始まる製造工程を手順を追ってイラストでわかりやすく解説する。化学反応を起こす、煆焼窯や消化槽の断面構造も描かれていて大変参考になる。左官用語が巻末に、カルシウムの化学反応系が93ページにまとまっているので、先に確認しておくと理解しやすいだろう。
全国各地の製法のバリエーションを多数挙げ、地場の自然素材ごとに分類して章立てしている。個人から集落レベルで小規模に済ませる作業手順や地産地消の工夫が理解できてよい。
施工例のイラストには、壁を塗る前の骨組みや木舞の構造がわかるように描かれ、建築物の図集としても楽しめる。またそれらが立ち並ぶ町の景観までを描き風情も感じられる。

目次
1.山のもの―山、川、谷（三河の三州たたき　ほか）
2.野のもの―田、畑、里山（遠州掛川の葛壁　ほか）
3.海のもの―浜、渚、磯（周防の松葉焼貝灰　ほか）
4.海外編（チベットの敲きと白壁、赤壁　ほか）
5.用語解説