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春の顕微鏡 歌集 塔21世紀叢書
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春の顕微鏡 歌集 塔21世紀叢書

永田紅(著者)

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春の顕微鏡 歌集 塔21世紀叢書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青磁社
発売年月日 2018/09/25
JAN 9784861984136

春の顕微鏡

¥3,300

商品レビュー

4.5

2件のお客様レビュー

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2024/11/04

こちらの本は、ひだまりトマトさんの本棚でご紹介されていた歌がとても好みでしたので、図書館よりお借りして手に取ることができました。 装丁から美しいです。(タイトルも。) 紡がれる言葉のひと言ひと言が柔らかく、温かい。一首、一行が、数式のように美しく感じられました。心地良さがありま...

こちらの本は、ひだまりトマトさんの本棚でご紹介されていた歌がとても好みでしたので、図書館よりお借りして手に取ることができました。 装丁から美しいです。(タイトルも。) 紡がれる言葉のひと言ひと言が柔らかく、温かい。一首、一行が、数式のように美しく感じられました。心地良さがありました。また、身近なひとが去り逝く歌には、何度も目頭を押さえました。 少しだけご紹介させてください。 ライラックから作られし薬剤の論文に 花溢るる図あり 一冊の書物に添いてゆくこころ 部屋あたたかく結露をなせり セーターの輪郭ねむく淡くなる あいまいさにも時間がかかる 人前は苦手  苦手をこなさねばならぬこと増ゆ仕事というは 濾過してもあなたは残る 歳月に溶け込みすぎて分離できない 慎重と臆病の間のきりぎしの 白き小道を歩きて来たり 悲しいことがあれば木の下 縞々のしっぽの先で涙を拭う ゆったりと蛍(ほうたる)、牡丹(ぼうたん)、 ダアリアの響きに庭は夏へ入りゆく 傍にいれば少し安心して過ごす 子どものころの夏のようなり 頭(ず)を撫でてもらいしことの 頭(あたま)から入りし力に動く八月 もう少しすれば時間ができるから そうやっていつも過ぎゆくものを 十八年ぼんやりのまま過ごしたる ムーの木漏れ日色の毛のいろ 落ちそうになったら私のふさふさの しっぽをつかんでいていいからね 多くの、心に響く歌があります。とてもご紹介しきれませんので、柔らかな雰囲気の歌、母、猫を偲ぶ歌から主に少しだけ選ばせていただきました。 案の定、お借りした本は付箋だらけになりました。 Amazonで早くこの本を取り寄せなければです。付箋のお引越しがありますから。 (ひだまりトマトさん、無事に中央図書館より取り寄せることができました!(*´︶`*) そして購入することにしました。最初から買っておけばと、、f^_^; とても好みの歌人です。よい本との出会いをありがとうございました。(*´ω`*))

Posted by ブクログ

2024/10/29

永田紅さんの歌集ですね。 永田紅さん(1975年、滋賀県うまれ)生化学研究者、歌人。父は永田和宏さん、母は河野裕子さん、兄は永田淳さん、いずれも歌人の短歌家族です。  永田紅さんは、様々な賞を受賞されています。 2006年秋から2011年末までの五年間、六百七十六首が収められてい...

永田紅さんの歌集ですね。 永田紅さん(1975年、滋賀県うまれ)生化学研究者、歌人。父は永田和宏さん、母は河野裕子さん、兄は永田淳さん、いずれも歌人の短歌家族です。  永田紅さんは、様々な賞を受賞されています。 2006年秋から2011年末までの五年間、六百七十六首が収められています。この間に、色々な事があられたようです。  2008年の春、博士研究員として四年間を過ごした東京から、京都の研究所へ戻った。そして、お母さんと母方の祖母、父方の祖父と相継いでなくされている。自身は、結婚もされて、飼い猫がいなくなるなどと、身辺に多くのことがあられたようです。  イルカちょっとこっちにいてねと移したり    おっとりとして瞬きをせり  蔦伸びるように浸蝕されゆけば    若さは窓のごと失われむ  ドライアイス小さくなりね一日の終わり    水かけてしばらく遊ぶ  水車小屋をながめて暮らす人のように    回る気配が傍らにあり  馬車道に落ちてゆく藁    家族からこぼれ落ちそうな時間を拾う  縞猫が自分の胴のしましまを    ほどいて遊ぶ、ように舐めている  猫の鼾おりおり聞こゆ椅子の上    テーブルの下のほの暗きより  母を中心としてまわりたる    家族にいつも猫がいること  一本の栞は時間の尾のようで    白い手帳のページをひらく  沈丁花花好める人とゆく小路    四月なかなか遠くはあらず  猫屋敷ときっと誰もが呼ぶ家に    陽だまりあればそこは完璧  受け入るること柔らかくなりゆけば    フウセンカズラの空気のかたち  平日の日中家にいてふしぎ庭に    陽さして布団を干して  家族には時間の庭が広がりて    かぜくさの間を風が吹くなり  毎日に猫がたりない前脚を    突っぱって抱き上げらるる猫  おしゃべりな猫を電話の相手から    赤ちゃんですかといつも問わるる  夕顔の咲く時期なれど夕闇に    一枚仕立ての花は匂わず  自転車はまるき光を先立てて    欅のしたの夜道をゆけり  やわらかく、真っ直ぐでゆったりとした作風が好ましく思われます。付箋だらけになりましたが、猫の歌が割りにありましたので、少し集めてみました。  お母さんの河野裕子さん譲りの自然と、家族を愛する心根の温かさを感じられる歌が多いのが、嬉しいですね。  

Posted by ブクログ

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