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どこにでも神様 知られざる出雲世界をあるく
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2018/08/17 |
JAN | 9784104445028 |
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どこにでも神様
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商品レビュー
3.5
5件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本の大きな題材は3つ。石見神楽、妖怪ロード、神社ガールである。 最初の、出雲地方の1地域石見に伝わる神楽がいまなお隆盛なのは以前テレビでもみたことがあり、興味を持って読んだ。一度は見てみたいものである。 妖怪ロード、様々な神社もいってみたい気がした。 著者の名前に心当たりがあったが、昔読んだ「コリアン世界の旅」の著者であった。 自分も大学の先生なのに、研究者によればと書いてそれがどの出典なのか誰なのか書かないのは不満。この本の価値を落としている。女子大生の意見をそのまま書いたり、これがこの人の本の良いところでもあるが、いまひとつ表現がこなれていないところである。 気楽にかける性格あってのこの本の出版だから玉にきずといったところか。
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この世のものとは思えない、と言ったら言い過ぎであろうか。神楽と客席とが渾然一体となったこの空間には、あたかも暖色の霞がかかっているかのようなのである。 「多幸感」という言葉が、自然と浮かんだ。ほかに適切な言い方が思い当たらず、「そうだ、『多幸感』がやっぱり一番しっくりくる」と私はひとりごちた。(p.23) 「でも、これから地球上で生きていくには、一歩下がって共通点を見つけていくとか、まわりを大事にしていくとか、そういう考え方がすごく大事になると思う。神道は、すべてのものには神様が宿っている、だから『なんでも大事にしようぜ』って言っているのでしょう。この寛容で寛大な考え方は非常に重要で、これからもっともっと見直されなくちゃいけないと思いますよ」(p.55、キッドさん) 「妖怪を介することで想像力がふくらんだり、コミュニケーションが円滑になったりするのは、むかしの人が編み出した知恵なんでしょう。それを私たちも受け継ぐことができれば、きっと日常生活の彩りが豊かになると思うんです。ロードのブロンズ像を見るときも、それぞれの妖怪を知っているのと知らないのとでは、豊かさの実感が全然違いますから」(p.165、黒目さん) 「戦争のせいですね」 京極さんは即答した。 「たぶん水木さんが戦争で失ったものが、『左腕』と『一人称』なんですよ」 いきなり核心をつく展開になった。(p.167) 佐野史郎さんもまた、「敗者への視線」に言及した。 「日の当たらないもの、見向きもされないようなもの、あるいは社会的に抹殺されているものの中にこそ、生きる喜びや森羅万象の本質が隠されているということは、子どもの頃からなんとなく感じていましたよね。現実の世界では勝者の側の論理で物事が進むけど、敗者の側のまなざしがもっとあってもいいんじゃないかと思ってきました」(p.170) 「生活に困っていないんだから本来は幸福なはずなんだけど、それって忘れがちですよね。マイナス要因があると、普通でいることがいかに幸福であるか、クリアに成るでしょう?不幸あっての幸福だから、しんどくても仕事を引き受ける。つねに仕事に追われている。ほっとけばやってくる幸福なんていうものはないと、水木さんは知っていたんでしょうね」(p.186) 小林さんによれば、舞い手に対する評価の第一の基準は「シブさ」である。 「むかしから『若くていいね』なんて言われても、全然うれしくない。太鼓を叩いていた時期もあります。ぼくが憧れる方々の特徴は、お客さんにこびないこと。自分の芸をお客さんに見せ付けたりはしないんですね。その自然体がシブくてカッコいい。十代の頃は、若いのにシブい舞いができる友達を見ると、ほんと嫉妬の固まりで(笑)」 読者には不可解と受け取られたかもしれないが、古来、日本の芸能や美術の世界のみならず、人品への評価でも「シブい」や「枯れた」は最大級の賛辞である。(p.286)
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出雲の石見では今も神楽が盛んで、子ども達は毛布やタオルケットを巻いてオロチごっこをし、若者は神楽に打ち込んでいる。石見神楽は進化し続けているのだ。 舞子は一種神がかり的な状態になるらしい。 多幸感の空間 目に見えない世界との共存 身近な神々との暮らし 敗者や滅ぼされ...
出雲の石見では今も神楽が盛んで、子ども達は毛布やタオルケットを巻いてオロチごっこをし、若者は神楽に打ち込んでいる。石見神楽は進化し続けているのだ。 舞子は一種神がかり的な状態になるらしい。 多幸感の空間 目に見えない世界との共存 身近な神々との暮らし 敗者や滅ぼされし者の視点 そして、「おじいさんがアイドル」 若い頃のあの人の舞は凄かったと、人々は談義に耽るという。 水木しげるに多くのページが割かれている。 米軍の爆撃による大けがで、左腕を付け根付近から切断された上、マラリアで生死の境をさまよった水木さんは、少しだけ回復したある日、左腕の傷口をくんくんとかいでみる。 「微かに赤ん坊の匂いがする・・・。 なんだか生命が底の方からわき上がってくる匂いだった・・・」 「たしかに赤ん坊の匂いだ。 声明が守勢から攻勢に転じたのかな・・・」 「ぼくは毎日赤ん坊の匂いをかぐのをたのしみにしていた。 それは天の香りだった」 「ぼくはなんとなく”希望”がわいた。 すなわち、生きられるかもしてないという安心感だった」 (自伝的長編「コミック昭和史」より) 目先の利益しか見えない「都会人」が置き去りにしてしまった、それでも未だに脈々と残っている世界が柔らかい筆致で描かれており、最後まで心地よい。
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