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朝、目覚めると、戦争が始まっていました
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 方丈社 |
発売年月日 | 2018/08/03 |
JAN | 9784908925344 |
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朝、目覚めると、戦争が始まっていました
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商品レビュー
4
13件のお客様レビュー
太平洋戦争が始まった日の一般市民の日記。開戦したことが嬉しいだの、自分、周りが変わったような気がするだのと好意的に捉えていることが多いが、中には開戦するに至ったことを悔いている人もいた。戦争が始まったその日もなにも変わらない日常がある。あとがきには有事には日常が幅をきかせるのだ、...
太平洋戦争が始まった日の一般市民の日記。開戦したことが嬉しいだの、自分、周りが変わったような気がするだのと好意的に捉えていることが多いが、中には開戦するに至ったことを悔いている人もいた。戦争が始まったその日もなにも変わらない日常がある。あとがきには有事には日常が幅をきかせるのだ、とあり、なるほどなあと思わされた。
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たまたま書店で手に取ってしまい即購入した作品。今と違ってインターネットもなく報道手段も限られているあの時代、何か不穏な予感はあったのだろうけど知らないうちに戦争が始まっていたその日についての作家、文化人、知識人による記述を集めたもの。開戦当日はラジオで何度か開戦の報道があったよう...
たまたま書店で手に取ってしまい即購入した作品。今と違ってインターネットもなく報道手段も限られているあの時代、何か不穏な予感はあったのだろうけど知らないうちに戦争が始まっていたその日についての作家、文化人、知識人による記述を集めたもの。開戦当日はラジオで何度か開戦の報道があったようでその都度に書かれたコメントをほぼ見開き一ページにまとめてある。もちろんいろんな人の意見であるので開戦の報に際して感動した、スッキリした、という人もいれば何故これを止められなかったのか、という人もいたりと賛否両論あるわけで本作の素晴らしいところはそれらを敢えて論評せずに淡々と載せていっているところ。後知恵というか結果を知った上で後世の我々が安易に批判をするのは簡単であるけれど本作品はそこが目的ではなく、言わば「なんとなくよく分かってないうちにとてつもなく重大な事態に直面していた」という状況を描きだすところにあったのでは、と思ったりした。その意味では一見平和に見える今だからこそむしろ考察のために読まれるべきものではないか、という気がした。非常に興味深い作品。
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※このレビューにはネタバレを含みます
昭和16年12月8日、朝のラジオニュースで国民は日本が戦争に突入したことを知った。 朝7時から夜9時までの8回のラジオニュースを挟み、その事実を日本人はどう受け止めたのか、著名人の日記等から読み解く。 掲載は吉本隆明(17歳)から徳富蘇峰(78歳)まで、年齢順。 若いからイケイケであるとか、歳を重ねた人が慎重論などということはなく、思った以上に閉塞感からの脱却を喜ぶ声が多かった。 「閉塞感」? 日中戦争の賠償を返納させられたこと、日露戦争でほとんど戦果を得られなかったことが、国民の閉塞感になっていたとしたら、これは明治政府の教育が行きわたったことの結果なのか。 それとも単純に、経済的な低迷が社会の閉塞感となっていただけなのか。 古川ロッパ コメディアン 38歳 『古川ロッパ昭和日記 戦中篇』 ”十一時起こされる。起しに来た女房が「いよいよ始まりましたよ。」と言ふ。日米つひに開戦。風呂へ入る、ラヂオが盛に軍歌を放送してゐる。……それから三時迄待たされ、三時から支度して、芝居小屋のセットへ入ったら、暫くして中止となる、ナンだい全く。” 近衛文麿 元首相 50歳 『風説五十年』内田信也 ”今朝はハワイを奇襲した筈だ。僕の在任中山本五十六君を呼んで、日米戦についての意見を叩いたところ、彼は初めの一年はどうにか保ちこたえられるが、二年目からは全然勝算はない。故に軍人としては廟議一決し宣戦の大命降れば、ただ最善を尽して御奉公するのみで、湊川出陣と同じだ、といつておつたが、山本君の気持としては緒戦に最大の勝利を挙げ、その後は政府の外交手腕発揮に待つというのが心底らしかった。それで山本君はそれとなくハワイ奇襲を仄めかしていたんですヨ。” 清沢洌 ジャーナリスト 51歳 『文壇五十年』正宗白鳥 ”清沢は「けさ開戦の知らせを聞いた時に、僕は自分達の責任を感じた。こういう事にならぬように僕達が努力しなかったのが悪かったと、感慨をもらした。” 東條英機 首相 57歳 『東條内閣総理大臣機密記録 東條英機大将言行録』東京大学出版会 ”予想以上だったね。いよいよルーズベルトも失脚だね。” 松岡洋右 元外務大臣 61歳 『欺かれた歴史 松岡と三国同盟の裏側』斎藤良衛 ”三国同盟の締結は、僕一生の不覚だったことを、今更ながら痛感する。……世間から僕は侵略戦争の片棒かつぎと誤解されている。僕の不徳の致すところとはいいながら、誠に遺憾だ。殊に三国同盟は、アメリカの参戦防止によって、世界戦争の再起を予防し、世界平和を回復し、国家を泰山の安きにおくことを目的としたのだが、事ことごとく志と違い、今度のような不祥事件の遠因と考えられるに至った。これを思うと、死んでも死にきれない。” 夜になると灯火管制で街は暗く、けれど電車や自動車は灯りを消していなかったというのだから、高揚しつつも現実感はまだまだ乏しかったのだろう。(永井荷風はさすがに冷静に街の様子を描写している) 神聖なる国土をアメリカ兵に踏ませてなるものか、という決意を述べている人もいた。 解説の「始まりは、大々的には始まらない」もよい。 ”とんでもないことになったとわかった時、わたしたちは、これはとんでもないことだ、と思わないようにする。これはいつもの毎日と変わらないのではないかと信じようとする。(中略)有事には、ひとまず日常が幅を利かせるのだ。” これを「正常性バイアス」と心理学では言うのだそうで、巻末の太宰治の小説『十二月八日』は正にそのもの。 今回のコロナかで右往左往している私たちは、いつかこの日が来た時に、冷静に対応できるのだろうか。 考えさせられること多し。
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